/

盛り土造成地ハザードマップ、地震崩落対策へ一歩

北海道地震で陥没した札幌市清田区の住宅地は盛り土造成地だった。

谷や傾斜地を埋めた「盛り土造成地」について、国土交通省が全国約5万1千カ所のハザードマップを公表した。一部の造成地は地震の揺れで崩落や液状化の危険があるが、対策が遅れ、都市の「隠れた災害リスク」とされてきた。民有地が多く調査や工事には課題が山積するが、情報公開は対策の一歩になる。

盛り土造成地はかつての谷や沢を埋めたり、傾斜した地盤に土を盛ったりした造成地。国交省が全国の市町村に3千平方メートル以上の大規模造成地の調査を指示、今年3月までに計10万ヘクタールあることが分かった。すべてが直ちに危険ではないが、1960~70年代の造成地を中心に安全性の確認が必要とされている。

国交省はその分布をウェブ上のポータル(玄関)サイト「重ねるハザードマップ」で7月15日に公表した。「土地の特徴・成り立ち」という項目から調べられる。洪水による浸水予想範囲や土砂災害の警戒区域などの情報と重ねて閲覧することもでき、利用者にとって地域の災害リスクを知る新たな情報が加わった。

盛り土造成地の危険性を浮かび上がらせたのが、2018年9月の北海道東部の地震だ。札幌市清田区で5ヘクタールにわたり地盤が沈んだり液状化したりし、100棟以上に被害がでた。専門家の調査で、谷を埋めた造成地だったと判明した。

こうした造成地は全国に広がり、1995年の阪神大震災以降、たびたび被害が報告されている。とくに高度成長期に造成された土地は当時の知見不足から耐震工事が不十分で、震度4~5程度の揺れでも被害が出る恐れがある。

対策としては(1)地盤にアンカーや杭(くい)を打ち込む(2)特殊な薬剤などで地盤を固める(3)地下水を逃がす排水パイプを埋める――などの工法で耐震補強する。自治体がボーリング調査で危険性を判断し、住民に工事を勧告するなどの手順も国交省が定めた。

だが、耐震化はなかなか進んでいない。工事費用は1カ所あたり数千万から数億円、1戸あたり数百万円以上になり、住民が負担に難色を示し、合意に時間がかかることが多い。行政が主導する必要があるが、市町村と都道府県の役割分担も必ずしも明確でない。

自治体が人口減少対策として進めるコンパクトシティー化との兼ね合いも課題だ。盛り土造成地の4分の1に当たる1万2千カ所が居住誘導区域にある。区域内の造成地の耐震化を優先するか、誘導区域自体の見直しが避けて通れない。

豪雨災害が増えて洪水や土砂災害への認識が高まる一方、盛り土造成地の情報公開は遅れてきた。京都大学の釜井俊孝教授は「不動産取引時に説明を義務づけるなど、情報提供を通じて住民にもっと関心をもってもらうことが欠かせない」と話している。

(編集委員 久保田啓介)

初割ですべての記事が読み放題
今なら2カ月無料!

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン