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昭和電工、事業売却など約3000億円分の資産見直し

記者会見する昭和電工の森川宏平社長

昭和電工の森川宏平社長は12日、新型コロナウイルス感染拡大などによる経済環境の悪化を受け、合計3千億円規模の資産見直しを実施する方針を明らかにした。設備投資の厳選や、非主力事業の売却を進める。4月に日立化成を買収したが、主力事業の黒鉛電極の市況悪化などに苦しんでいる。210億円以上の収益改善策も実行し、収益基盤を再構築する。

「大変厳しい内容の決算だ」。同日に記者会見した森川社長は事業環境の変化を受け、危機感をあらわにした。20年12月期業績は連結売上高が前年同期比6%増の9600億円、最終損益は900億円の赤字(前期は730億円の黒字)を見込む。稼ぎ頭だった黒鉛電極で需要が急減し拠点閉鎖などを実施したほか、石油化学やアルミニウムも市況が悪化した。

通期の見通しは4月に買収した日立化成の事業の7~12月分を合算して計上した。同事業は売上高が2800億円、営業損益は約200億円の赤字を見込む。1兆円近くを投じた買収によるのれんの償却で約180億円を計上することが響く。ただし同事業では情報通信や自動車関連が成長し、21年以降は回復が期待できるという。

市況の悪化と巨額買収によるのれんの負担に苦しむ状況だが、森川社長は「市況の回復を期待するだけでなく、自助努力もしていく」と述べた。黒鉛電極は通常、年18万トン程度の生産能力を持つ。20年下期は拠点閉鎖などによるコスト削減で、半年間で6万トンほどの生産でも損益を均衡させることができるとした。

21年以降に向けた経営改善への方針も明らかにした。具体策は3千億円規模の資産のスリム化だ。内訳ではまず設備投資を厳選し、500億円を捻出する。政策保有株の売却などで450億円以上の資産を圧縮し、非主力事業の売却でも2千億円を確保する。事業売却については「非主力事業の定義がかなり明確になってきた」(森川社長)と、具体的な検討を始めていることを示唆した。

収益体質の向上でも210億円以上を捻出する。コスト削減で200億円以上を見込み、本社の統合効果などで10億円以上を見込む。コストダウン効果は旧日立化成の事業領域で大きく出る見通しだという。

旧日立化成ののれんが6千億円規模になるという試算も示した。コストダウン策でのれんの償却負担を軽減させる方針で、減損についても「近い将来で起きるとは現時点では判断していない」(竹内元浩最高財務責任者=CFO)という。

それでも株主への配当は中間で無配となり、期末も未定とするなど厳しい事業運営が続く。買収による巨額の負担と新型コロナという想定外の危機でも、成長軌道に乗ることができるか。経営陣の判断が問われている。

(福本裕貴)

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