東芝、フィリピン工場の稼働低下が収益の重荷に

2020/8/12 18:57
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東芝が12日に発表した2020年4~6月期の連結決算(米国会計基準)は営業損益が126億円の赤字だった。足を引っ張った事業の1つがハードディスク駆動装置(HDD)だ。フィリピン工場が外出制限の影響を受け、生産が停滞した。フィリピン政府は8月に外出制限を再び厳格化しており、供給リスクが再燃する可能性もある。

東芝の4~6月期は営業赤字だった(オンラインで説明する加茂正治・執行役上席常務)

「HDD市場はデータセンター需要で活況だったが、主力工場のあるフィリピンでロックダウン(都市封鎖)が起きてしまった」。加茂正治・執行役上席常務は同日のオンライン決算説明会で、こう説明した。HDD事業の売上高は647億円と前年同期の半分に落ち込み、営業損益も18億円の赤字(前年同期は43億円の黒字)に転落した。

フィリピンでは3月中旬にマニラなどで外出・移動制限措置を導入し、従業員が出社できなくなった。6月末までに正常稼働に戻ったというが、4~6月だけで利益の押し下げ額は70億円に達した。半導体メモリー大手のキオクシア(旧東芝メモリ)も同工場にソリッド・ステート・ドライブ(SSD)の組み立て工程を委託しており、製品の出荷が一時滞った。

新興国では新型コロナの感染が再び拡大しており、フィリピンの累計患者数は14万人に迫る。同国政府は4~18日にマニラ首都圏とその周辺州で外出・移動制限措置を再び厳格化した。鉄道やバス、タクシーなどの公共交通機関が休止の対象となっている。

東芝によれば「現在のフィリピン工場は約8割の稼働率を確保できている」が、国内外のすべての製造現場が正常稼働に戻る時期を見通すのは難しい。これまでは6月末を見込んでいたが、8月以降に先延ばしした。

東芝は4~6月期に、連結全体(330億円)の4分の1に上る86億円を半導体・記憶媒体事業に投じた。HDDの増産投資が中心で、生産が停滞する中でも需要拡大に備える姿勢を示した。

これからは従業員の移動手段の確保や感染者の隔離など「外出制限で蓄えたノウハウを生かし、十分な稼働を確保する」(加茂氏)ことができるかが問われる。

(矢尾隆行、広井洋一郎)

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