バイデン氏、多様性前面 民主副大統領候補にハリス氏

米大統領選
2020/8/12 19:00 (2020/8/13 4:23更新)
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黒人女性初の副大統領候補になるハリス氏(6月)=ロイター

黒人女性初の副大統領候補になるハリス氏(6月)=ロイター

【ワシントン=永沢毅】米大統領選で民主党のバイデン前副大統領(77)はカマラ・ハリス上院議員(55)を米副大統領の候補に決め、人種など米国の多様性を重視する姿勢を鮮明にした。白人層に力点を置くトランプ大統領に対抗してマイノリティーの集票を狙うが、党内の左派層の取り込みも課題となる。

ジャマイカ系の父親とインド系の母親を持つ移民2世のハリス氏は米国の多様性を体現する。「出自や容貌がどうであれ誰にも居場所がある。これが米国の根源的な考え方だ」。バイデン氏の盟友、オバマ前大統領は11日の声明でハリス氏の起用を称賛した。

黒人女性として初めてというだけでなく、アジア系でも初の副大統領候補になるハリス氏。米ピュー・リサーチ・センターによると、2020年大統領選で白人有権者の割合は過去最低の66%に縮む。一方で非白人はヒスパニック(13%)や黒人(12%)、アジア系(5%)をあわせて30%超と最大になる見通しだ。

バイデン前副大統領(右)と手を取り合うハリス氏(3月、ミシガン州デトロイト)=ロイター

バイデン前副大統領(右)と手を取り合うハリス氏(3月、ミシガン州デトロイト)=ロイター

特に激戦州である西部アリゾナ、南部フロリダ両州は非白人のマイノリティーの動向がカギを握る。バイデン氏はヒスパニック系が急増する南部テキサスや黒人が多い同ジョージアといった共和党の地盤である州の獲得も視野に入れる。ハリス氏起用は非白人の有権者に響く効果を見込める。

選挙戦の致命傷になりかねない目立った悪材料も少ない。例えば政策だ。副大統領候補に取り沙汰されていたリベラル系のウォーレン上院議員は左派色が強く、トランプ氏が「極左」のレッテルを貼りやすい。ハリス氏はバイデン氏と同じ中道・穏健派と目され、現実的な政策を志向する。中国への制裁関税には反対で足並みをそろえる。

一時は副大統領候補に有力視されていた黒人のカレン・バス下院議員は過去にキューバを礼賛した発言が火種となった。現体制に不満を持つキューバからの移民の多い激戦州フロリダの集票に影響する恐れがある。

ハリス氏にはバイデン氏の長男で15年に46歳で死去したボウ氏との関係も有利に働いた。カリフォルニア州司法長官時代のハリス氏は、東部デラウェア州司法長官だったボウ氏と一緒に仕事に取り組んだこともある。同氏はハリス氏の仕事ぶりを称賛していた。

「バイデン氏はボウ氏から話を聞き、ハリス氏がとてもタフな人物だとずっと強く印象づけられてきた」。バイデン氏の陣営は11日の声明で、ボウ氏との関係も選考に寄与したと明かした。

08年に共和党副大統領候補に指名されたサラ・ペイリン元アラスカ州知事は当初、保守派の若手女性として注目を浴びたが、後に外交政策などに関する知識の乏しさを露呈。共和党内からも資質に欠けるとの声があがった。バイデン氏は州司法長官や上院議員を歴任したハリス氏の実務能力を評価し、こうしたリスクは少ないと踏んだ。

バイデン氏は3月、自らを「私は(次世代の民主党のリーダーとの)懸け橋だ」と発言していた。副大統領候補への起用は、ハリス氏を次世代リーダーの有力候補の一人に据えたと宣言したに等しい。ハリス氏は24年大統領選で民主党の有力候補となる可能性がある。

ハリス氏の強みはリスクでもある。「(リベラル系)支持層を軽蔑している」。バイデン氏と民主候補の座を争った左派サンダース上院議員陣営の元幹部はこうツイートし、中道派のハリス氏の起用に不満をあらわにした。リベラル系支持層の取り込みはなおバイデン氏の課題だ。

20年大統領選で民主党の最重要課題は、16年にトランプ氏に奪われたミシガンやウィスコンシン両州などラストベルト(さびた工業地帯)に位置する中西部の白人労働者層の奪還だ。これらの州ではいずれもバイデン氏が世論調査で優位に立つが、多様性を訴えすぎると穏健派の白人を遠ざける可能性もある。

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