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トランプ氏、対中包囲網一段と 貿易や監査も浮上

トランプ氏は次々と対中強硬策を打ち出している=ロイター

【ワシントン=河浪武史】トランプ政権が大統領選を前に対中包囲網を一段と強めている。中国企業の排除や高官への制裁に続き、対中輸出が合意通りに増えないことを受け、制裁関税を課す可能性もある。中国企業の上場監査問題も、民主党候補となるバイデン前副大統領への攻撃材料として急浮上してきそうだ。

米政権は8月に入り、中国の北京字節跳動科技(バイトダンス)に、動画投稿サービス「TikTok(ティックトック)」を売却するよう要求したほか、香港政府トップの林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官らへの制裁も決めた。次の強硬策として見え隠れするのは、輸出が合意目標に届かないことを理由にした制裁関税の発動だ。

トランプ大統領は、1月に中国と合意した米国製品の輸出拡大の遅れにいらだちを強めている。2020年中に対中輸出を前年の1.8倍に増やすと合意したが、1~6月期は新型コロナウイルスの影響もあり前年同期比で4%も減った。ピーターソン国際経済研究所によると、6月時点で対中輸出は目標の46%にとどまっている。

米中貿易交渉の「第1段階の合意」は発効から8月中旬で半年がたつ。両国は閣僚級協議を年2回開いて進捗具合を点検することにしており、近くライトハイザー米通商代表部(USTR)代表と劉鶴(リュウ・ハァ)副首相がテレビ電話形式で会談する可能性が取り沙汰されている。

中国への強硬姿勢は11月の選挙へのアピール材料になるだけに、トランプ氏が「中国は約束違反だ」と断じれば、制裁関税を再発動する可能性もある。そうなれば貿易戦争が再び激しくなるのは必至だ。

中国への締め付けは、大統領選でライバルとなるバイデン氏の追い落としへの意識も強い。米政権は中国企業の上場監査を厳格化すると表明したが、米ハドソン研究所の中国専門家、マイケル・ピルズベリー氏は「もともと監査を免除する特例を与えたのは、バイデン氏だ」と明かす。

米当局は上場企業の監査法人を定期検査しているが、中国側は自国の監査法人への検査を拒んでいる。トランプ政権は中国企業を米株式市場から締め出すため、要求に応じなければ上場を廃止すると迫るが、中国にも言い分がある。米中当局は13年に、米当局が中国の監査法人の検査を事実上免除する「覚書」を結んでいるからだ。

覚書は上場企業会計監視委員会(PCAOB)と中国財政省などが結んだ。米当局が中国側に情報提供を求めても、中国側は国内法に基づいて拒否できる。お膳立てした1人がバイデン氏だ。11年から当時の習近平国家副主席と経済対話を開いて中国の対米投資の拡大を求めていた。

トランプ氏は支持率でバイデン氏に後れを取っており、反撃材料の一つを中国問題とみる。バイデン氏を巡っては、同氏の次男が13年の訪中に同行し、その後に金融会社を通じて中国に多額の投資をしていたことも明らかになっている。トランプ政権が8月に入って対中強硬策を強めているのは、バイデン氏の中国政策の甘さを浮き彫りにする狙いもありそうだ。

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