/

正社員かつ異業種 共働き夫婦は「リスク分散」で

新しいお金の生活様式(8)

写真はイメージ=PIXTA

ウィズコロナ時代に変わる「新しいお金の生活様式」。今月は働き方をテーマにしています。今週考えてみたいのは「共働き」という働き方のスタイルです。

~夫婦で共働きは最高の価値 ただし正社員で~

夫婦の働き方は平成の30年間を経過し、「共働き」がスタンダードになりました。1980年ごろは「共働き1:片働き(いわゆる専業主婦世帯)2」という比率だったのに、平成に入る頃にはほぼ同数となり、平成が終わったいま「共働き2:片働き1」と完全に逆転しました。

平成の時代をよく「失われた時代」と評す人がいますが、女性の雇用機会の創出、女性の高学歴化、男女雇用機会の均等化などの取り組みは、確実に実を結んだといえます。

家庭のマネープランを考えたとき、男性ひとりの力だけで夫婦、家族のすべての支出をまかなうよう稼ぐのはエンジン1つで飛行機を飛ばしていくようなものです。しかし、共働きにすることでエンジンを2つを稼働させ、目的地へ向かうことができるようになりました。

ただし、夫婦共働きの真価が発揮されるのは夫婦がともに正社員であった場合です。先週も考えたとおり、非正規雇用のリスクは共働きであっても大きすぎるリスクだからです。「パートで働く妻」と「正社員で働く妻」には収入格差以外にも大きな差があります。

そしてそのひとつはやはり、雇用の安定ということになります。ぜひ正社員での共働きを目指し、また辞めずに頑張ってください。

~「共働きのポートフォリオ」を意識する~

今回はさらに、共働きの意識を高める話をしてみます。それは「正社員夫婦は異業種で働く」というリスク分散を考えることです。

資産運用では銘柄一覧についてポートフォリオという言葉を使います。同様に「共働きのポートフォリオ」を意識してみるのです。

2人が「異業種」で働くことはリスクヘッジとしても意義があります。今回、新型コロナウイルスの影響を考えたとき、旅行会社とドラッグストアに夫婦が勤めていた場合と、2人とも航空会社に勤めていた場合、どちらが収入の安定性は高かったでしょうか。

資産運用においては複数の投資商品の相関を意識します。値動きの異なる投資対象を同時に保有することで分散投資の効果が生じ、全体のリスクが下がるからです。私たちの働き方でもより自覚的に共働きを選択する時代が来ているのです。

成長業種と安定業種に夫婦が別れて働いたり、会社員と個人オフィスで夫婦が別れて働いたりするほうが、リスクが低くなるという「共働きのポートフォリオ」という考え方です(これはつまり、同じ職場での共働きは、たとえ大企業であっても実はリスクがあるということです)。

~男性が家事育児シェアを高めるのもカギ~

どちらも正社員として夫婦が働き続けた場合、必ず問題となるのは「家事育児の分担」です。

一般的には家事育児の分担は「夫2:妻8」だそうです。しかし年収比でみると「夫6:妻4」が多いそうです。これはつまり、「年収比相当の家事育児分担を夫はしていない」ということです。

仮にこの年収比なら、理屈としては家事育児分担は「夫4:妻6」でもおかしくないはずです。平成の30年間、女性が正社員としてたくさん働く世の中になって「変化」したのに、男性は変化していなかったといえます。だとしたら、この機に男性も変わっていくべきです。

もしかすると男性のテレワークは、こうした差を解消するきっかけになるかもしれません。「朝は9時直前まで家事ができる」「5時半の終業ですぐ育児に関われる」のがテレワークの強みであるからです。実際、テレワークによって男性の家事育児の時間が増えたという調査があります。

本来なら年収比にこだわらず「5:5」を目指すべきだと思いますが、まずは「男性の家事育児1割増」を目指してみてください。

女性に「正社員と家事育児」を全部背負わせることは、マネープラン的にも賢いこととはいえないのです。

~共働き夫婦には定年後にご褒美も待っている~

ところで、共働き夫婦は仕事も忙しく、子育てにも追われ、油断すると部屋がごちゃごちゃになり家事にもストレスがたまります。しかし、がんばったご褒美があります。

それは「経済的ゆとりのある老後」の数十年です。

正社員であれば「退職金ふたり分」「厚生年金ふたり分」を老後の財産として生活を送ることができます。これは専業主婦モデルと比べて、年金収入で年80万~100万円、退職金で500万~2000万円くらいの上積みになる可能性があります。

これは昨年の金融庁報告書で話題となった「老後に2000万円」も楽々解消できるほどのインパクトがあります。「あのときは大変だったけど、共働きを続けていてよかったね」と話せるときがくるはずです。そして、楽しく、少し余裕のある老後を過ごすことができるはずです。

ウィズコロナ時代、苦しい時期がしばらくは続きます。しかし「正社員共働き」をできるだけやめずに続けていけば、未来はきっと明るいものになるでしょう。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

すべての記事が読み放題
有料会員が初回1カ月無料

ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。

セレクション

トレンドウオッチ

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

新着

ビジネス

暮らし

ゆとり

フォローする
有料会員の方のみご利用になれます。気になる連載・コラム・キーワードをフォローすると、「Myニュース」でまとめよみができます。
新規会員登録ログイン
記事を保存する
有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。
新規会員登録ログイン
Think! の投稿を読む
記事と併せて、エキスパート(専門家)のひとこと解説や分析を読むことができます。会員の方のみご利用になれます。
新規会員登録 (無料)ログイン