アフガン政府、タリバン捕虜解放 和平交渉開始へ前進

2020/8/11 16:37
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ガニ氏(前列左から2人目)はロヤ・ジルガ(国民大会議)の捕虜解放の布告に署名した=AP

ガニ氏(前列左から2人目)はロヤ・ジルガ(国民大会議)の捕虜解放の布告に署名した=AP

アフガニスタンのガニ大統領は10日、殺人や薬物取引などに携わった反政府武装勢力タリバンの重罪捕虜400人を解放するという布告に署名した。アフガン政府とタリバンによる相互の捕虜解放が近く終了し、両者が将来の統治体制に関する対話を始める可能性が高まってきた。

米国とタリバンは2月末に和平合意した際、政府がタリバン捕虜を5000人、タリバンが政府軍などの捕虜を1000人解放すると約束した。政府はこれまで4600人を解放していたが、残る400人の重罪者はアフガンの伝統的な最高意思決定機関ロヤ・ジルガ(国民大会議)の判断に委ねていた。

国民大会議は7日に首都カブールで始まり、政界関係者ら3000人超が出席した。9日、残る400人も解放すべきだとの布告をまとめ、これにガニ氏が署名した。大統領府によると、兵士の恩赦なども実施する。タリバンは既に政府の捕虜解放を終えたとしている。

政府が400人の捕虜解放を終えると、両者は将来の統治体制に関する対話の場を初めて設ける方向だ。タリバン関係者は10日、日本経済新聞の取材に「残る捕虜が解放されれば政府と対話を始める」と明言した。タリバン側は20人超のメンバーが参加するもようだ。

米国務省のアフガン和平担当特別代表であるハリルザド氏は10日、「ガニ大統領が残る捕虜を解放するという判断を歓迎する」とツイートした。「数日以内に捕虜解放が完了し、将来のアフガンの統治体制を巡る対話が始まることを期待する」とも言及した。ハリルザド氏によると、対話はカタールの首都ドーハで開かれる見通しだという。

タリバン捕虜の解放が近く終わり、政府との対話が始まる方向だ=AP

タリバン捕虜の解放が近く終わり、政府との対話が始まる方向だ=AP

両者の対話では新しい憲法に加え、アフガンにどのような国防や経済の仕組みを設けるのか協議するとみられる。タリバンが抱える数万人の兵士をどう配置するのかも焦点の一つだ。政府関係者は「タリバンを政権にどう関与させるかが課題になる」と指摘する。

当初、両者の対話は2月末の米国とタリバンの和平合意後、3月上旬にも開く方向だった。ところが、政府は米国とタリバンが決めた捕虜解放のリストに強い難色を示した。捕虜解放のスケジュールが遅れ、いら立つ米国が経済制裁をちらつかせながら、介入を強める場面もみられた。

政府の捕虜解放が遅れたのは、タリバンによる暴力行為が続いていることも一因だ。地元メディアによると、和平合意後もタリバンの攻撃で3000人以上の死者が出ている。米国が段階的に駐留軍を引き揚げるなか、市民の安全をどう確保するかが大きな課題だ。戦闘行為が長く続いたアフガンは世界の最貧国の一つで、女性の権利や子供の教育といった難題が山積している。(馬場燃)

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