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スポーツ界で生まれる新様式 さらなる創造に期待

マセソン美季

北米プロアイスホッケーNHLは中断していたシーズンを再開した=AP

いまだ、様々な制限がある生活から解放されることはないが、スポーツ界は「新しい様式」を発信しはじめている。

北米プロアイスホッケーNHLは中断していたシーズンを1日から再開、プレーオフ予選が始まった。東西カンファレンスの上位12チームがカナダの2都市に集まり、無観客で試合を実施している。氷上のリアルな会話が聞こえることを期待していたが、残念ながらクリアな声は聞こえない。ただ静寂なリンクからの中継が続けば、選手たちは「聞かせるプレー」を工夫するようになるかもしれない。

毎夏、子ども向けに行われる各種スポーツのサマーキャンプは、今年はオンライン。だが、アスリート、コーチだけでなく、トレーナー、栄養士、心理学者、データ解析者といった、普段会えないような人も登場し、とても興味深い。心理学者が説くコロナ禍でのストレス耐性のつけ方は、とてもわかりやすかった。新様式が生んだこうしたコンテンツは、スポーツを多面的に知る貴重な機会になった。

車いすバスケットボールの名コーチ、マイク・フログリーは自粛期間中、狭い場所でボールなしでもパスの精度をあげる練習法を紹介した。使うのは生卵だ。最初はアンダースロー、慣れたらオーバースローで卵を投げる。投げる側は相手が取りやすい位置に狙いを定め、受ける側はスピードや角度、回転などを見て、まずは「目」で捕ろうと促す。衝撃を吸収するようキャッチしたら、卵を反対の手に移して投げ返す。成功したら少しずつ間隔を広げる。

カナダの車いすバスケのアカデミー最長記録は、50フィート(約15メートル)らしい。20年以上も前から彼が使っている方法だが、こうした固定観念や既存のやり方に縛られない技術指導が、これからのスポーツには求められるだろうと、米プロバスケットボールNBA下部チームのコーチが称賛していた。

春先は生活に制限を強いられて不安や不満が募った人も多かっただろう。今は置かれた状況で知恵を絞り、新たな形を創造する段階に移行したようだ。指導者たちの腕の見せどころは、きっとこれからだ。

マセソン美季
 1973年生まれ。大学1年時に交通事故で車いす生活に。98年長野パラリンピックのアイススレッジ・スピードレースで金メダル3個、銀メダル1個を獲得。カナダのアイススレッジホッケー選手と結婚し、カナダ在住。2016年から日本財団パラリンピックサポートセンター勤務。国際パラリンピック委員会(IPC)教育委員も務める。

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