飲料メーカー襲う「三重苦」、ECと健康で底上げ図る

2020/8/11 12:00
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サントリーBFはアプリと連動して健康関連の飲料を勧める

サントリーBFはアプリと連動して健康関連の飲料を勧める

飲料各社がかき入れ時の夏本番を迎え「三重苦」にあえいでいる。梅雨の長雨に加えて東京五輪をはじめとする大型イベントの延期や新型コロナウイルスによる外出自粛が需要を押し下げている。各社は販売増が見込める電子商取引(EC)や健康飲料の拡販を急ぐが、新型コロナ問題の収束が全く見えない中、どこまで販売を下支えできるかは不透明だ。

「まさに三重苦だ」とある飲料大手の幹部はため息をつく。12日に2020年1~6月期連結決算(国際会計基準)を発表するコカ・コーラボトラーズジャパンホールディングス(CCBJH)の状況も厳しい。

業績悪化が目立つ

市場予想の平均のQUICKコンセンサスは同社の1~6月期の最終損益を78億円の赤字と見込む。前年同期に続いて最終赤字は2期連続になりそうだ。

20年12月期は本来、復活の年になるはずだった。CCBJHの筆頭株主の日本コカ・コーラは20年東京五輪の最上位スポンサー「ワールドワイドパートナー」。大会関連の販売増に賭けたが延期で目算は狂った。新型コロナによる外出自粛や長雨も追い打ちをかける。20年12月期で90億円の最終黒字という予想は5月に取り下げた。

CCBJHだけではない。サントリー食品インターナショナル(サントリーBF)の20年1~6月期の純利益は34%減の209億円、アサヒグループホールディングスの1~6月期の飲料事業も事業利益が42%減の99億円に悪化した。

特に収益性に悪影響を与えているのが自販機の販売減だ。自販機はメーカー側が価格や商品構成を決められるため利益率が高い。各社のアルコールを除いた飲料事業の営業利益の6~7割を占めるとされる。

飲料総研(東京・新宿)によると、6月の主要メーカーの自販機経由の販売額は前年同月比で13%減。5月は37%減と過去最大の落ち幅だった。自販機はもともとコンビニエンスストアに利用者が流れる中、三重苦がさらなる逆風になっている。

ECと健康に注力

泣きっ面に蜂状態の飲料各社が注力し始めたのがECだ。巣ごもり需要などで日本コカの1~6月のEC販売額は46%伸びたほか、サントリーBFも大手サイト経由で6割増えた。日本コカはペットボトルに商品ラベルやシールが付いていない「ラベルレス」の飲料をEC専売で投入するなど、EC拡販を急ぐ。

健康飲料にも力を入れる。新型コロナ下で消費者の健康意識が高まり、日本コカの「特定保健用食品(トクホ)」飲料の1~6月のネット販売は7割増えた。サントリーはオフィス向けの自販機とスマホアプリを組み合わせ、従業員の生活習慣に合った飲料を勧めるサービスを始めた。

矢野経済研究所によると、20年度の国内飲料市場は19年度比で2.5%減の4兆9700億円と2年連続のマイナスを見込む中、健康飲料の世界市場は20~25年に年1割程度伸び続けるとの予測がある。

ただ、ECと健康飲料が飲料各社の業績全体を押し上げるには力不足とみられる。飲料総研によると大手メーカーのEC経由の販売比率は全体のわずか1%程度。あるメーカー関係者は「取引先の卸との関係があり、ECだけに注力できない」と打ち明ける。

またECは2リットルなど大型ペットボトルで、割安になるまとめ買いが中心。「500ミリリットル以下が大半で、収益性の高い自販機の下落分は補えない」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の角山智信シニアアナリスト)との見方がある。健康飲料も様々なメーカーが参入し競争が激化している。

東京五輪の開催の行方はいまだ見えてこないほか、新型コロナ問題も収束する気配は無い。東京など関東甲信は今月に入ってようやく梅雨明けしたが、飲料各社の経営状況が好転するにはまだ時間がかかりそうだ。(逸見純也)

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