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ようやく開幕、シニアゴルフ選手それぞれの思い

編集委員 吉良幸雄

シニアツアー開幕戦の最終日、ショットを放つ柳沢伸祐。3勝目を挙げ来年の海外メジャー挑戦を目指す(日本プロゴルフ協会提供)

コロナ禍で4月から5月にかけて全国に緊急事態宣言が出される中、ゴルフに対するマイナスイメージを印象づけたのが河川敷練習場に集まるゴルファーのニュース映像だった。屋外とはいえ「密」な状況が映し出され、眉をひそめる視聴者は少なくなかった。

柳沢V、長い自粛がプラスにも

7月30~31日に国内大会で初めてギャラリーを入れて開催された男子シニアツアー「ISPSハンダ・コロナに喝!!」(静岡・朝霧CC)。開幕戦優勝を飾った柳沢伸祐(54)が記者会見で、自粛生活について、苦笑しながら振り返った。「多摩川の練習場の報道が痛かった。(ゴルフは)密で危険なように言われて。コースへ行くのも、気分的に『こそこそ』みたい」。プロだから、練習場やゴルフ場へ行くのはれっきとした仕事なのに、周囲の目がずいぶん気になった。

クラブを使った練習の不足に加え「家飲み」で体重が増えた。が、トレーニングは思うに任せない。ランニングもやりづらく、暗くなってから人のいなくなった自宅近くの公園を走ったという。

次から次へと試合は中止となり、「逆風」ばかりの自粛生活だったが、腰に"爆弾"を抱える柳沢には思わぬプラスにもなったらしい。3年前にぎっくり腰を患い、今も要警戒中。だが「練習量が少なくなったぶん、体調は良かった。圧倒的にラウンド数も少なくて。練習量が多くなると腰にダメージが出てくるので」。

技術面では、大会前週の練習ラウンドで加瀬秀樹からボール位置と膝の使い方についてのアドバイスをもらったのが効いた。「自分で思っていたよりも右足寄りになっていて。体が詰まっていたようだったのが、直してもらって振り抜きが良くなった」

レギュラーツアーでは鳴かず飛ばずだった柳沢だが、シニア入りして3勝目。幸先のいい開幕Vで欲も出てきた。「この間、室田(淳)さんに『今年は試合数が少ないから、賞金ランク1、2位になるチャンスだぞ』と言われた。もしかして……」。そうなれば全米シニアオープンや全米プロシニアなど海外メジャーにも出場できる。昨年は全米シニアオープンの米国予選(ハワイ)にも挑戦した。182センチ、85キロの遅咲きの飛ばし屋シニアの夢は広がる。

シニアデビュー佐藤、43位にも納得

3カ月半遅れの開幕戦でシニアデビューしたのが、日本プロなど国内メジャー3勝を含めツアー通算9勝の佐藤信人(50)だ。試合に出るのは6年ぶり。数年前はラウンド数が年間10数回という年もあり、昨年も30~40回ほど。現在はテレビ解説や日本ゴルフツアー機構(JGTO)広報担当理事の仕事が本業になっている。「最初は尻込みしていた。ふだん偉そうに解説していて『選手として出ると、こうなるのね』って」

大会第1日、ショットを放つ佐藤信人。これがシニアデビュー戦だった(日本プロゴルフ協会提供)

試合の感覚を忘れていたせいか、驚きも少なくなかった。「プロテストのときみたいに、萎縮してクラブを振れなかった。テークバックは上がらないし、(練習場より)半番手から1番手、飛距離が落ちる。アクセルを踏もうとしているのに、ブレーキを踏んでいる感じ」。ツアー時代は、パットで「イップス」を患っていたが、今も後遺症が残っているようで「パットも打てない。10メートルが1.5メートルもショートした」

それでも1アンダー、43位の成績にまずまず納得だ。「解説のときは選手と一線を引くけれど、久しぶりに一緒に歩いて選手同士の話ができて楽しかった。改めて試合は(練習と)こんなに違うんだと。出なきゃわからないな」。8月の2試合や、以前に水巻善典らと合宿を行った兵庫・鳴尾GC開催の日本シニアオープン(9月)も出場予定で、実戦経験を「解説の仕事に生かしたい」と話す。

谷口、レギュラーツアーにも意欲

昨秋の日本シニアオープンでシニア初Vを飾った谷口徹(52)は、オフィシャルな大会に出るのが今季初めてだった。現在は国内ツアー開幕は9月のフジサンケイクラシック(山梨)の予定で、7月のゴルフパートナー・エキシビション(茨城)は出場を見送っていた。「トーナメントはキャディーがつくもの。考え方はいろいろだが、セルフプレーは、自分の中では試合じゃないと。自分はキャディーを連れてチームでやっているから」

シニアツアー開幕戦に出場した谷口徹(左)。キャディーと組んでの今季初戦に手応えも得た

オフは半年以上にわたった。より良い練習環境を求め、新たに兵庫県の三甲GCジャパンコース(旧ジャパンメモリアルGC)のメンバーになった。ボールコントロールをしやすいスイングを考えながらコツコツ練習しているが、それでも「試合がなくて、何となくの練習は身が入らない」という。今大会は得意のパットが決まらず、9アンダーの4位。ただ、相棒キャディーとタッグを組んでの久方ぶりの試合はやはり楽しかった。「やれて良かった。課題は山積み」とこの先のレギュラーツアーにやる気をのぞかせた。

この試合のギャラリーは2日間で計862人。選手はPCR検査を行い、観客にはマスク、ビニール手袋やフェースシールドを無料で配布。ギャラリーバスの乗車前には検温も行われた。今季のシニアツアーは計10試合ほどが開催される見込み。日本プロゴルフ協会(PGA)の倉本昌弘会長は「ギャラリーは密になることもなく、無事にできて良かった。(今後へ)いろいろ改善しないといけない点を見つけられた」と開幕戦の収穫を口にした。

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