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「レトロゲーム」海賊版が横行 40代の復刻人気狙う?

(更新)

任天堂の「スーパーマリオブラザーズ」など往年の人気ソフトが入った海賊版ゲーム機の販売が横行している。同社の「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」に興じた40代が主なターゲットだ。かつてのソフトメーカーがなくなったことも「レトロゲーム」の海賊版が出回る要因とみられる。

「懐かしさ満載のゲームが36種類搭載されて遊べます」。2019年2~3月、宮城県の40代会社員の男はオークションサイトに海賊版ゲーム機を出品した。ゲーム機は19年1月に海外の通販サイトで1台千円で計10台仕入れ、1台2千~3500円で転売していた。

ゲーム機はスマートフォンに装着して遊ぶケース型で画面と、十字キーが備わっている構造だ。36作品は「スーパーマリオブラザーズ」「ドンキーコング」「ボンバーマン」など、いずれも過去の名作ぞろいだった。

一部のソフトの著作権を持つ任天堂とタイトー(東京)から相談を受け、大阪府警が捜査を開始。20年7月に男を著作権法違反容疑で書類送検した。

初代ファミコンの発売から30年以上が過ぎ、往年のソフトが「レトロゲーム」として人気を集めている。任天堂は16年に30作品を収めたファミコンの復刻版を発売し、国内外で1千万台以上を売り上げた。同社の担当者は「40代前後の世代が懐かしさから再び手にとるケースが多い」と話す。

大阪府警の摘発はこの復刻人気に便乗したケースの一例だ。大手通販サイトで「レトロゲーム」などの単語を打ち込むと、海賊版と疑われるソフトが入ったゲーム機がずらりと並ぶ。多くは中国など海外が製造拠点とされる。

タイトーの担当者は「サイトで著作権の侵害を見つけ次第、海外を含めてやめるよう依頼しているが、対応には時間がかかる」と説明する。

ソフトを製作した会社がなくなっていることも海賊版が出回る一因になっているとみられる。大阪府警が摘発したゲーム機に入っていた36作品のうち、著作権法違反を認定できたのは8作品のみ。捜査幹部は「製造元から話を聞けず、収録されたソフトにオリジナルが存在すると確認できなかった」と明かす。

海賊版対策はゲーム業界にとって長年の課題となっている。過去には違法ソフトを携帯型ゲーム機で使えるようにする装置「マジコン」が流通。13年に任天堂などが販売業者に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁が業者側に装置の輸入・販売の差し止めと賠償を命じる判決を言い渡した。

文化庁によると、ゲームを含めたコンピューターソフトの日本での海賊版の損害額は、17年に約1106億円との業界推計がある。今年6月には、インターネット上の海賊版対策を強化する改正著作権法が成立。ゲームを含めた著作物全般を対象に違法だと知りながらダウンロードする行為が規制対象となった。

摂南大(大阪府寝屋川市)の針尾大嗣准教授(情報学)は「レトロゲームは最新ソフトに比べてデータ容量が少ない。コピー商品を安価で大量に作れる」と海賊版が流通する背景を指摘する。ソフトメーカーの対策や警察の摘発だけでは限界もあり、針尾准教授は「海賊版のゲーム機やソフトが売買される通販サイトが取り締まりを強化する必要がある」と訴える。

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