古民家泊まり文化体験、地域有志が事業 山形・白鷹

2020/8/7 18:08
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「きものリトリートホテル」を開業するukitamの冨田泰弘監査役(山形県白鷹町)

「きものリトリートホテル」を開業するukitamの冨田泰弘監査役(山形県白鷹町)

山形県南部の置賜(おきたま)地方に来春、地域の伝統文化を体験できる宿泊施設がオープンする。老舗呉服店のとみひろ(山形市)や、旅館チェーンの高見屋グループ(同)といった地元企業の経営者らが街づくり会社を設立。養蚕や着物体験などを売り物に地域活性化につなげる。

「新型コロナウイルスの時期になぜやるのかといわれたが、人の縁が結んだ施設を生かしたい」。6日、白鷹町の田園地帯にある旧奥山邸で開かれた現地説明会で、とみひろの冨田浩志社長は和服姿で力説した。

江戸時代、上杉鷹山と関係が深く養蚕などを営んだ豪農の屋敷跡は8000平方メートルの敷地に5つの蔵などが建つ。同町で養蚕事業も始めていた冨田社長が5年前に取得。蔵王活性化に携わるNECキャピタルソリューション(東京・港)地域活性化推進部の梅津建太主任と出会い、蔵などを活用する構想が進んだ。

事業は置賜の古い呼称にちなむ社名を付けた新会社「ukitam(ウキタム)」が担う。とみひろや高見屋グループのほか、NECキャピタル、NOTE(兵庫県丹波篠山市)が出資。NOTEは古民家の宿泊施設を生かした地域活性化を各地で手掛けており、統一ブランド「NIPPONIA」を宿泊施設名に付け集客につなげる。

ウキタムの社長は66歳の冨田社長が兼務するが、取締役や監査役として実務にあたるのはとみひろの冨田泰弘取締役や、高見屋グループの岡崎博門代表取締役ら30歳代の若い世代。建築やPRなども山形県内の若手デザイナーらが担う。歴史資源の活用を全国20カ所近くで手掛けるNOTEの星野新治副社長は、「地方で地元の若手人材が集まり事業化するのは珍しい」と驚く。

今後、建物を改修し宿泊施設8室やレストラン、ラウンジをつくる。テーマは隠れ家をイメージする「きものリトリートホテル」で、着付け体験など着物文化に触れられるようにする。地域の文化や歴史を体験できるよう、養蚕や雪かき、田植えといった体験プログラムも取り入れる。

蔵を生かした宿泊施設を開業したukitamの冨田浩志社長(山形県白鷹町)

蔵を生かした宿泊施設を開業したukitamの冨田浩志社長(山形県白鷹町)

総事業費は2億円で、国の交付金5000万円のほか銀行借り入れなどで対応。1部屋6万円(1泊2食付き、2人)程度の宿泊料にする予定だ。当初はインバウンド(訪日外国人)などを見込んでいたが、まずは地元客を掘り起こす。宿泊事業には最悪のタイミングとはいえ「独立した部屋はコロナ禍でも人気があり、稼働率2割でも成り立つようにする」(高見屋の岡崎氏)という。

とみひろが町内で始めた養蚕は自前の桑畑を開墾し、100%国産の着物を作る全国的に珍しい事業だ。山に囲まれた美しい景観がありながら知名度が低い白鷹だが「養蚕と着物を核に地域の魅力を伝えたい」(冨田社長)と意気込んでいる。

(山形支局長 浅山章)

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