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米、雇用減「第2波」警戒 7月失業率10.2%改善鈍く

(更新)
職業安定所で順番を待つ人々(7月9日、オクラホマ州)=AP

【ワシントン=河浪武史】米労働省が7日発表した7月の雇用統計(速報値、季節調整済み)は、失業率が10.2%と前月から0.9ポイント低下し、3カ月連続で改善した。ただ、米経済は新型コロナウイルスの感染拡大が続き、経済対策の期限も一部切れる。雇用悪化の「第2波」の懸念も浮かんでいる。

米失業率は4月に戦後最悪の14.7%まで急上昇し、その後は緩やかに改善している。景気動向を敏感に映す非農業分門の就業者数は、前月から176万人増加した。前月の479万人増から鈍化したものの、3カ月連続で持ち直している。市場予測は失業率が10.5%、就業者数の増加幅は160万人だった。4月に2300万人に達した失業者数は、7月時点でもなお1633万人と高止まりしている。

トランプ大統領は「米雇用はV字回復を実現できる」と繰り返し主張してきたが、持ち直しのペースは鈍化しており、底ばいが続く「L字」の懸念がある。それだけでなく、新型コロナの感染拡大などで、雇用が二番底となる「W字」のリスクも浮かんできた。

失業後に職場復帰した労働者の31%が、2回目の一時解雇を余儀なくされた――。コーネル大などが7月下旬に約6000人を調査したところ、深刻な「失業第2波」のリスクが表れた。ほかの26%も「一時解雇の可能性がある」と雇用主に示唆されており、労働市場は再び弱含んでいる。

南部テキサス州や西部カリフォルニア州などでは、6月中旬から新型コロナの感染が再拡大。飲食店などの営業が制限され、一時解雇などが再び増えている。レストラン予約サイト「オープンテーブル」のデータでは、全米の飲食店の客足は6月下旬に前年比4割減まで回復したが、8月初旬は再び同6割減に落ち込んでいる。

個人消費も再び停滞する。ハーバード大系の日次調査「エコノミック・トラッカー」では、全米の個人消費は3月30日に今年1月と比べて33%減まで落ち込んだ後、6月21日は同5%減まで持ち直した。それが6月下旬以降は横ばいとなり、直近の7月26日時点でも同6%減と回復が止まったままだ。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「ホテルの稼働率や飲食店の客足が落ち、米経済の持ち直しは鈍化している」と強く懸念する。企業や個人の倒産・破産動向を調査する全米破産協会も「企業倒産は今後数カ月でさらに増える」と分析。ダラス連銀のカプラン総裁は、失業率は20年末時点でも9~10%と高止まりすると厳しく予測する。

雇用情勢にもう一段の逆風となりかねないのは、3月に発動した連邦政府の新型コロナ対策の期限切れだ。7月末には失業給付を週600ドル加算してきた特例措置が失効。受給者は2500万人と大規模で、米議会で延長法案が成立しなければ、全米の家計収入の4%に相当する月600億ドルの所得が消失する。

9月末には40万人の従業員を抱える航空業界向けの雇用維持策も期限が切れる。ユナイテッド航空など航空大手各社は10月以降、6万人超の人員カットの可能性を表明。米議会には航空会社の支援延長論も浮かんできたが、与野党の対立で具体化が進まない。公的支援が切れる「財政の崖」で、米景気の回復軌道は一気に不透明になってきた。

労働市場は世界的に持ち直しが遅れている。新型コロナの感染拡大が止まらないブラジルは失業率(3~5月期)が12.9%に上昇。欧州でも感染者が再び増えるスペインは6月の失業率が15.6%まで悪化した。感染者や失業者は主に低所得層に集中する。新型コロナと雇用喪失の2つの危機を早期に脱せなければ、社会不安が一段と高まりかねない。

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