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福島・郡山市、水害対策で街づくり見直し

2019年10月の台風19号による水害で大きな被害が発生した福島県郡山市は、水害の危険度の高い地域を居住誘導区域から外すなどまちづくりを見直す。国は郡山市をモデル都市に指定し、成果を他の都市に広げていく方針だ。

台風19号で浸水したJR郡山駅北東部(2019年10月、国土地理院撮影)

「低地に水があっという間に集まり、住民は避難するのがやっとだった」。JR郡山駅北側の住宅街で水害対策にあたっていた郡山市の防災担当者は台風19号の当時をこう振り返る。

台風19号では豪雨に加え、阿武隈川の氾濫、支流の土手の決壊、阿武隈川本流の水位が上がったことによる支流への水の逆流などが同時に起きた。市内全体で床上浸水約6500件、死者7人の被害が出た。

被害の大きさとともに今回問題となったのは、市が定めた居住誘導区域でありながら床上浸水が起きた地域が多く出たことだ。郡山駅北東のバスの操車場や大病院がある地域、駅北西の古くからの住宅街の小学校の周辺、市街地のため池周辺など4カ所で、その面積は計50ヘクタール強に及ぶ。

市はこれらの地域を中心に、まちづくりの基本になる立地適正化計画を20年度内をめどに見直す。さらに高齢者がより安全に避難できる計画づくりや浸水被害の大きかった地域からの移転希望者への支援策などを検討する方針だ。

国土交通省は7月、郡山市を防災面を考慮し、従来のコンパクトシティー政策を見直す「防災コンパクト先行モデル都市」に指定した。全国では15都市が選ばれ大阪府高槻市、宇都宮市、福島県須賀川市などいずれも水害や土砂災害対策に力を入れている自治体だ。

郡山市はゲリラ豪雨対策として毎年40億円前後を投じて雨水の排水管路や地下貯水施設をつくる計画を進めている。また、低地にたまった水を排出するポンプ場を増強しているが、これらの対策では追いつかないほどの豪雨が増えている。

郡山市の品川萬里市長は「3次元の立体地図で見て防災対策を考える必要が出ている」と指摘する。市は雨水の貯留施設などのハード対策と並行してソフト面の対策を進め、防災の実効性を高めることにした。

ただ、「生活に便利で地価が安ければ過去に災害があった場所でも記憶が薄れるにつれ住む人が増える」(市の都市計画部門)傾向がある。住宅の建設を法的に規制できるのは土砂災害の危険がある急傾斜地などに限られるため、啓発やインセンティブによる誘導が中心になる見通しだ。

台風19号で大きな浸水被害を受けた郡山中央工業団地では、市の補助金を利用して高台への移転を決める会社が出始めた。住宅の集積地域の見直しは災害リスクと財源などの社会的なコストを比べながら息の長い取り組みになりそうだ。

(郡山支局長 村田和彦)

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