「玉音放送」「軍属ラジオ」テーマにラジオ番組

文化往来
2020/8/12 2:00
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2001年に発掘調査された、地下に建設された「隠蔽放送所」(埼玉県川口市)

2001年に発掘調査された、地下に建設された「隠蔽放送所」(埼玉県川口市)

終戦から75年を迎える8月15日、戦争の終わりを告げた「玉音放送」と、米軍のプロパガンダ放送を妨害した「軍属ラジオ」をテーマとする2つのラジオ特別番組を文化放送(東京・港)が放送する。玉音放送の全体像を改めて見つめるとともに、知られざる痕跡を紹介することで戦争を振り返る。

米国生まれの詩人、アーサー・ビナード氏が2つの番組のパーソナリティーを務める。ビナード氏は同局の戦後70年番組で日本各地と米国の47人の戦争体験者を訪ね、彼らの証言を1年3カ月にわたり番組にしてきた経験を持つ。以来、東京近郊の戦争遺構を訪ね歩くなど、毎年夏の同局の戦争関連番組に携わってきた。今年はコロナ禍によって戦時中を知る人たちへの取材が難しくなり、「玉音放送をしっかり調べてみようとなった」とビナード氏と共に番組を制作してきた鈴木敏夫・報道スポーツセンター部長は言う。

パーソナリティーを務める米国生まれの詩人、アーサー・ビナード氏

パーソナリティーを務める米国生まれの詩人、アーサー・ビナード氏

「アーサー・ビナード 玉音放送を探して」(15日午前11時)は、5年前に宮内庁が公開した玉音放送のフルバージョンを放送し、現代語訳で内容を紹介する。専門家を交えて録音に関するエピソードの真偽を検証したりもする。番組のプロデューサーでもある鈴木氏は「『堪え難きを堪え、忍び難きを忍び』のくだりとそれを聞いて泣く人々、というイメージしかない人も多いのではないか。中身について紹介することで、玉音放送とは何だったのかを考える機会になれば」と話す。

5年前、47人の戦争体験者に取材した際、「玉音放送をどこで聞きましたか?」と全員に尋ねたところ、多様な受け止め方があったことが今回の番組制作につながったという。「47人のうち生で放送を聞いていたのは3、4人だけ。電車に乗っていて聞けなかった人もいれば、『街が壊滅し、それどころではなかった』と語った広島の被爆者らの声もあった」。彼らが証言したアーカイブ音声も番組内で放送する。ビナード氏も玉音放送の全文をそらんじることができるほど、かねて関心を持っていたという。

「封印された真実~軍属ラジオ」(15日午後6時)は戦時中、サイパンから日本に向けた米軍のプロパガンダ放送を聴けなくするため、各地から妨害電波が放送されていたことを紹介する。現在、文化放送のAM地上波送信所となっている場所にもかつてそうした設備があった。もともとこの場所は1931年に建設された日本放送協会の放送施設で、戦局が厳しくなると地下に妨害電波を出すための「隠蔽放送所」が作られた。「隠蔽放送所」は2001年に発掘調査された。「妨害電波は本来の放送の使命とは全く違う。ラジオを使った情報戦だった」と鈴木氏。番組では当時のプロパガンダ放送とそれを聴けなくする妨害電波を再現したものを放送し、ラジオ放送のもう一つの歴史と向き合う。

(関原のり子)

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