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不正入試受験料、大半の返還困難 大学が名簿破棄

東京医科大の入試不正問題をめぐって受験料の返還を命じる判決が確定したが、返金手続きを代行する特定適格消費者団体のNPO法人「消費者機構日本」(東京)が、救済対象の受験生と連絡が取れない問題に直面している。大学側が不合格者名簿の大半を破棄していたためで、被害救済のハードルとなっている。

不合格者名簿の大半を破棄していた東京医科大(東京都新宿区)=共同

2016年10月施行の消費者裁判手続き特例法は、共通の理由で損害を受けた消費者に代わり、国が認めた特定適格消費者団体が被害回復の訴訟を起こせると規定している。

東京医科大は17、18年の入試で女性や浪人生の得点を低く調整。特例法が初適用され、今年3月に東京地裁であった判決は、大学側に受験料などの返還義務があると判断し、その後確定した。

機構によると、救済対象は約5200人に上るが、大学から提出された受験生の名簿は、追加合格者や重複を除き約400人分だけ。機構は「9月20日の参加締め切り日までに、どうすれば多くの対象者が気付いてくれるか」と頭を悩ませる。

東京医科大によると、1次試験で不合格だった人の住所などを記した名簿は、個人情報保護法に基づき試験後、速やかに破棄している。大学の公式サイトに受験料返還開始を知らせる記述はあるが、判決の主文と機構への連絡先が記載されているだけだ。

大学の担当者は「周知を主体的にするのは機構。大学は他の方法での周知を考えていない。受験生だと名乗り出ても、受験番号が分からなければ、返還に応じられない可能性もある」と話す。

同じく不正入試を指摘された昭和大は、東京医科大に対する判決を受け、自主的に受験料を返還することを決定。7月に対象者全員に返還の案内文を郵送した。

機構の佐々木幸孝代表理事は「名簿の破棄は特例法の立法時に想定していなかった事態。簡単な証明で被害回復ができ、対象者への公告費用も事業者負担になるよう、法の見直しが必要だ」と話す。

団体訴訟に詳しい五十嵐潤弁護士は「米国では提訴していない被害者まで返還の効力が及ぶ制度があり、訴えられた側に新聞広告などの周知を義務付けている。日本の現行法で、情報も資金も不足する機構が十分な被害回復を担うには無理がある」と指摘した。〔共同〕

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