接見制限で国に賠償命令 八木死刑囚ら、埼玉
埼玉県本庄市の保険金殺人事件で死刑が確定した八木茂死刑囚(70)と弁護団が、再審請求のための接見を拘置所側が時間制限したのは違法だとして、国に計1650万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、さいたま地裁は5日、国に計225万円の賠償を命じた。
判決理由で谷口豊裁判長は、東京拘置所が時間を30分に制限したことは死刑囚が再審請求のために弁護士から援助を受ける機会を保障していないとして「裁量権の範囲を逸脱しており、接見交通の利益を侵害するもの」と認定した。
一方、時間制限は裁判を受ける権利の侵害だとする死刑囚側の主張は、「憲法は時間無制限の面会を保障していると解することはできない」として退けた。
判決によると、八木死刑囚と弁護団は2014年1月~17年6月、東京拘置所での接見で時間を30分に制限され、その後は1時間となった。
判決後、原告の1人の川目武彦弁護士は「死刑確定者にとって外部との交流がいかに重要か理解していない」と述べた。
八木死刑囚の接見を巡っては、09年に拘置所職員の立ち会いは違法として提訴し、15年に請求を一部認める判断が最高裁で確定。14年には職員が立ち会って時間制限したとして損害賠償を求め、一審さいたま地裁は一部の面会で違法な制限があったとして国に計275万円の支払いを命じ、二審東京高裁も支持した。
八木死刑囚は捜査段階から一貫して無罪を主張しており、現在、再審請求中。
〔共同〕