北海道7空港民営化から半年 コロナ逆風で着陸料免除

2020/8/9 2:00
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北海道の空の玄関口、新千歳空港(北海道千歳市)など北海道内7空港の民営化が2020年1月に始まって半年が過ぎた。新千歳では6月に民間による滑走路などの運営も始まったが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で発着便が激減。空港の運営会社は当初見込んだ収益を得られておらず、5年間の中期計画を見直す方針だ。

臨時貨物便の着陸料免除を続けている(7月、新千歳空港)

臨時貨物便の着陸料免除を続けている(7月、新千歳空港)

空港民営化の目的は物販などの収益があるターミナルビルと、着陸料収入のある滑走路の運営を一本化し、空港全体として機動的な経営を行えるようにすることにある。国や地方自治体にはない民間の経営ノウハウを生かし、空港運営をスムーズにする狙いもある。

北海道での空港民営化は国が管理する新千歳、稚内、釧路、函館と地方自治体が管理する旭川、帯広、女満別の7カ所が対象。民間事業者に運営権を一定期間売却する「コンセッション方式」を取るため、民営化後も国や自治体は空港の管理者として関わり続ける。空港運営は委託を受けた民間企業が一手に担う。

北海道では全国初となる7つの空港を一度に民営化し、一体的に運営するのを目指している。なかでも新千歳は国が管理する空港では羽田に次いで高い収益力を持ち、全国でも経営状態が優良な空港の1つとして知られる。一方、残る地方6空港はいずれも赤字の厳しい経営が続く。7空港の民営化では新千歳を軸に赤字6空港をどう活性化させるかが課題となっている。

7空港民営化の担い手は、三菱地所や東急など北海道内外の企業17社が出資する北海道エアポート(HAP、千歳市)が入札で選ばれた。運営期間は49年までの30年間。同社はまず20年1月に7空港のターミナルビル運営に着手し、6月からは新千歳の空港運営も始めた。

ただ空港運営は民営化直後から新型コロナの影響で逆風下にある。各空港では国内外をつなぐ航空便が激減し、新千歳では3月中旬以降、国際線ゼロの状況が続く。国内線も急減していて6月の旅客数は前年比83%減だった。空港に訪日客の姿はなく、空港内店舗の売り上げも一時、前年同月比90%減まで落ち込んだ。

HAPは49年までに7空港の路線数を2.4倍の142路線に、旅客数を1.6倍の4584万人にするなどの目標を掲げる。ところがコロナで当初の想定とは異なる状況になったため、HAPの蒲生猛社長は「少なくとも5年間の計画は見直さなければならない」と言及し、同社が掲げた目標のうち24年度までの中期計画を作り直す。

民営化による空港運営の最大の利点は、空港を離着陸する航空会社から得られる着陸料にある。ただHAPは6月から航空会社が払うべき着陸料の減免制度を導入。新規路線の就航であれば4年間適用され、1年目は全額免除、2年目は75%と段階的に割り引く。

旅客便減少に伴って貨物輸送も減っているため、HAPは6月から臨時貨物便を飛ばす航空会社にも着陸料を免除している。こうした措置を受け、7月末までに香港と台北(台湾)を目的地とした貨物便が計24便運航した。

貨物便を運航する台湾の中華航空の担当者は「補助がなければ運航にこぎつけられなかった」と免除措置の意義を強調する。HAPは7月末までの予定だった貨物便への着陸料の免除を9月末まで延長した。コロナ禍の中、国内外の路線をつなぎ留める努力が続く。

(札幌支社 塩崎健太郎)

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