吉村知事「予防薬、治療薬ではない」 うがい薬で説明

2020/8/5 15:16 (2020/8/5 22:17更新)
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うがい薬などが売り切れ、空になった薬局の棚(4日午後、大阪・心斎橋)=共同

うがい薬などが売り切れ、空になった薬局の棚(4日午後、大阪・心斎橋)=共同

大阪府の吉村洋文知事は5日の記者会見で、「ポビドンヨード」の成分を含むうがい薬について「(新型コロナウイルスの)予防効果は一切ない。予防薬でも治療薬でもない」と説明し、買い占めや転売をやめるよう呼びかけた。

吉村氏は4日、同成分を含むうがい薬を使うことで、感染者の唾液中のウイルスの陽性頻度が低下したとする府立病院機構「大阪はびきの医療センター」の研究成果を紹介。府民にうがい薬の使用も呼びかけた。

吉村氏は同成分を含む各社のうがい薬を卓上にずらりと並べ、うがいの励行を訴えた。結果として、全国で同成分を含むうがい薬の品切れが相次ぐ騒動に。だが、5日の会見では自身の責任には触れず、「誤解がある。予防効果があるとは言っていない」と釈明するとともに、「陽性者などがうがい薬を使うことで口の中のウイルスが減るので、人にうつすことを防ぐのではないか」と飛沫感染防止などへの期待をあらためて主張した。

PCR検査前に同成分を含むうがい薬を使い、感染しているのに陰性と判定される「偽陰性」となる懸念もある。吉村氏は「感染を確認する目的の検査前にうがいをするとは考えにくい」と述べる一方、出入国時の検査について「水際対策として何らかのルールをつくる必要がある」とした。

同センターの松山晃文・次世代創薬創生センター長によると、研究成果は途中段階だ。今後2千人規模の臨床研究で、同成分を含むうがい薬による重症化予防効果について検証するという。

専門家も慎重な見方だ。東京医療保健大の菅原えりさ教授(感染制御学)は「今回の研究は一つの知見ではあるが、効果についてまだ何も言えない段階だ」と指摘する。感染症に詳しい関西福祉大の勝田吉彰教授も「口内のウイルス量を減らすことで、細胞に侵入するウイルス量や感染者から飛沫感染するリスクを減らせる可能性を示している」としつつも、「効果の検証には引き続き研究が必要だ」と話す。

日本医師会(日医)の中川俊男会長は5日の記者会見で、うがい薬の効果について「現時点ではエビデンス(根拠)が不足していると考えている。日医でも今後検証していきたい」と述べた。

一方、今回の発表による株価への影響も。グループ会社を通じて「明治うがい薬」の名称で同成分を含む製品を販売する明治ホールディングス(HD)の株価は4日には一時、年初来高値を付けたが、5日終値は前日比4%(330円)安の8430円に下落した。

米ムンディファーマのうがい薬「イソジン」の国内独占販売権を持つ塩野義製薬は、4日の株価は終値で前日比2%(115円)高の6212円に上昇したが、5日は1%(62円)安の6150円で取引を終えた。

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