茨城・鹿嶋の奥村さん、90歳パワーの源は感謝と節制
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2020/8/5 14:59
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茨城県鹿嶋市の奥村正子さんはバーベルを18年近く挙げ続け、2019年に70歳以上の女子47キロ級で5度目の世界大会王者に輝いた。感謝の心と節制をパワーの源として、90歳の今もスポーツジムなどで体を鍛える。

奥村さんはベンチプレスの世界大会で5回王者に輝いた(鹿嶋市)

ベンチ台でバーベルを挙げるベンチプレスを始めたのは72歳のときだった。交通事故に遭った夫のリハビリに付き合い、楽しさを知ったのがきっかけ。13年にチェコで初出場した世界大会から3年連続で優勝した。

17年には脳梗塞を患い世界大会を断念、さらに夫をがんでなくした。だが18年の南アフリカの大会で復活。「88歳です」と紹介されるとスタンディングオベーションを受け優勝した。大会出場の旅費は自腹だが「現地の人々とのコミュニケーションが楽しい」。

今年は新型コロナウイルスで世界大会が見送りとなり「モチベーションは落ちている」。それでも雨が降らなければ水戸市のジムに通って体を鍛える。今も45キロ、調子が良ければ50キロのバーベルは挙げられるという。

1930年に横浜市で生まれた。しつけの厳しい家で育ち、横浜大空襲や食糧難を経験した。30~40歳代のころには在日米陸軍司令部がある神奈川県のキャンプ座間で働き、英語を身につけた。

「やりたいことをやれることに感謝している」と奥村さん。大会では海外にいる息子や亡き夫のほか、復活を支えたジムや病院、近所の人々を思い3回胸をたたく。そんな姿に「応援団」の鹿嶋市長や警察署長がエールを送り、近所の人々が自宅に野菜などを届ける。

「自分の体は自分で守らねばならない」と節制も怠らない。基本は1日2食で外食はせず、地方の食材などを取り寄せる。朝にはブランド牛「常陸牛」を食べて力をつける。最低8時間は睡眠をとり、3カ月に1回は健康診断を欠かさない。

新聞に毎日じっくり目を通すなど活字も愛する。コロナ禍でジムに行けなかった間には万葉集を読んだ。自身の著作の印税は寄付した。

競技を始めた際に抱いた「90歳まで続けよう」という夢は今年果たした。「次は93歳が目標」と豪快に笑う。

(水戸支局長 竹蓋幸広)

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