公取委、ヤフー・LINE統合承認 スマホ決済に注文

公正取引委員会は4日、ヤフーを傘下に持つZホールディングス(HD)とLINEの経営統合を認めたと発表した。スマートフォン決済分野の定期的な報告を求める条件を付けた。統合は2021年3月に実現する見通し。デジタル市場の寡占が起きないかを注視しながらIT(情報技術)企業の成長を後押しする。
公取委はニュース配信やスマホ決済、デジタル広告などの分野に分けて統合の影響を分析した。スマホ決済については統合後3年間、市場シェアなどを毎年報告させる条件をつけた。加盟店が他の決済事業者と契約するのを妨げないことも求める。
同日記者会見した公取委の岩下生知企業結合課長は「決済市場は変化が激しく、将来予測は難しい。統合後に市場価格を左右できる状態になりかねない」と話した。
スマホ決済市場でZHDの「ペイペイ」のシェアは1位で55%にのぼるという。「LINEペイ」は5%と少ないものの「会員数をみれば潜在的な利用者数は非常に多い」(岩下課長)と指摘した。各社が大規模な還元キャンペーンを繰り広げており新規参入のハードルが高いことも懸念材料とした。

幅広いデジタルサービスを手がけるIT企業同士の結合審査は先例がない。公取委は19年12月、IT大手が顧客データを囲い込むことで利便性が増す特徴などを踏まえ新たな審査指針を策定した。ヤフーとLINEの統合は新方針に基づく初の大型案件となった。