ミサイル防衛「新しい方向性」 首相、敵基地攻撃能力を検討
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安倍晋三首相は4日、相手のミサイル拠点をたたく「敵基地攻撃能力」について政府で検討する考えを表明した。自民党の提言を受け「しっかり新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく考えだ」と述べた。首相官邸で記者団に答えた。
首相は自民党ミサイル防衛検討チームから党の提言を受け取った。
提言は憲法の範囲内で「相手領域内でも弾道ミサイル等を阻止する能力の保有を含めて、抑止力を向上させるための新たな取り組みが必要」と指摘した。「敵基地攻撃能力」などの表現をあえて使わなかった。
首相は「抑止力のあり方を含めてご意見をいただいた。政府としてしっかり議論を深めたい」と話した。「国の使命は国民の命と平和な暮らしを守り抜くことだ」とも強調した。
政府は国家安全保障会議(NSC)の議論を加速する。4日の自民党の提言の後にNSCの4大臣会合を開いた。
政府はミサイル防衛について9月をめどに方向性を示す。地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の代替策も議論する。
政府が敵基地攻撃能力の保有に踏み切るには、連立を組む公明党との調整も欠かせない。衆院議員の任期満了を2021年10月に控え、衆院選に向けた世論の受け止め方も考慮する必要がある。