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メダル請負人と手携え ケイリン日本代表・脇本雄太(下)

2020/8/8 3:00
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ブノワHC(左)の信念と言葉に導かれ、脇本は世界トップクラスへ駆け上がった(More CADENCE提供)

ブノワHC(左)の信念と言葉に導かれ、脇本は世界トップクラスへ駆け上がった(More CADENCE提供)

6月に和歌山競輪場で行われた高松宮記念杯は、脇本雄太(31、日本競輪選手会)の独壇場だった。トップ選手がそろうG1の全4レースを圧勝。通算賞金は6億円を超えた。デビュー13年目で突出した成績を出せるようになったのはここ数年だ。意外にも、五輪種目ケイリンに軸足を移したことがきっかけだった。

福井県出身。高校から競技を始めると、「陸上400メートル走のような持久力」を生かした逃げですぐに頭角を現す。仕事としての競輪と世界で戦うケイリン。両立を夢見て競輪学校の門をくぐったが、現実は甘くなかった。2012年ロンドン五輪は落選し、16年リオデジャネイロ五輪は13位。「独自の練習で世界を目指したが、限界があった」

他選手も含め、低迷していた日本短距離界。東京五輪に向けて頼ったのが他国で実績を重ね、「メダル請負人」と呼ばれたフランス出身のブノワ・ベトゥだった。16年12月の初対面。自信に満ちた言葉が今も忘れられない。「競技と競輪でしっかり成績を出すには18カ月かかる」

それは脇本の可能性を引き出せるという自信の表明であり、徹底的に追い込むとの通告でもあった。すぐに拠点の伊豆ベロドローム(静岡県伊豆市)近くに住居を移し、競輪出場は従来の4分の1に。自転車に乗る時間は1日8時間から3時間に減ったが、データに裏打ちされた強化策で体と走りはすぐに変わった。

90キロあった体重は脂肪がごっそり落ちて83キロに。的確な声かけや集中法の伝授で精神面も改善した。「『練習時間の長さはウソつかない』みたいな考えだったけれど、常識が全部覆された」。持ち味のロングスパートで17年末のケイリン・ワールドカップを初めて制すと、競輪でもビッグレースで結果が出始める。それが18年5月。「ぴったり18カ月だった。すごいな」

全幅の信頼を寄せるベトゥとは目下、空気抵抗を極限まで抑えるフォーム改善に取り組む。最高速度を今より2キロ速い80キロに乗せられれば、世界王者のラブレイセン(オランダ)であっても真っ向勝負で差しきれるという見立てだ。

あと1年、ケイリンでの猛練習に耐えられる原動力は発祥国のプライドだけではない。11年に亡くなった母、幸子さんと交わした「メダル獲得」という約束。東京をそのラストチャンスの場と位置付ける。こんな親子の絆も念頭に、ベトゥは脇本を五輪代表に選んだ記者会見で断言した。「彼は信義を重んじる男。約束は守るよ」。この予言、今度は自分の力で必ず実現してみせる。=敬称略

(鱸正人)

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