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7連勝で首位独走、J1川崎に死角はないか
サッカージャーナリスト 大住良之

2020/8/6 3:00
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8月末まで「入場者5000人」の「超厳戒態勢」を維持することになったJリーグで、川崎フロンターレが独走している。

7月4日に再開されてから勝ちっ放しの7連勝。勝ち点を22に伸ばし、2位(セレッソ大阪、勝ち点17)以下にあっという間に大きな差をつけてしまった。8月1日には、再開後はじめて関西に遠征、前節終了時で2位につけていたガンバ大阪と対戦したが、48分にMF大島僚太が鮮やかなミドルシュートを決めて先制、そのまま逃げ切って強さを見せつけた。

仙台―川崎の後半、逆転ゴールを決め跳び上がって喜ぶ川崎・小林(右)=共同

仙台―川崎の後半、逆転ゴールを決め跳び上がって喜ぶ川崎・小林(右)=共同

前後半で顔ぶれががらりと変わる攻撃陣

川崎の強さは、攻撃陣の層の厚さにある。今季限りのルールで交代枠が5人に広げられたのをフルに生かし、後半に投入した交代選手の活躍で勝ちきるという形が、第4節の柏戦から5試合連続で続いている。

最も鮮やかだったのは、第5節の横浜FC戦(アウェー)。前半にMF脇坂泰斗の得点で先制しながら、59分に同点とされると、直後にMF三笘薫とFW小林悠を投入。すると三笘が得意のドリブルでゴールに迫り、PKを奪取。これを小林が決め、さらに投入したMF下田北斗、MF山村和也が得点をアシストして、5-1で大勝した。

さらに次節のベガルタ仙台戦では、前半0-2の劣勢をはね返した。ハーフタイムにFW旗手怜央とFW小林を投入、旗手のアシストで小林が追撃のゴールを決め、小林のアシストでDF山根視来が同点ゴール、そして小林が3点目を決めて鮮やかに逆転勝ちしてしまったのだ。

鬼木達監督は、第2節からの7連勝のなか、全試合で5人の交代枠をフルに使い切っている。その交代は大半が攻撃陣だ。今季から「4-1-2-3」という攻撃重視のシステムをとるなか、故障などのアクシデントが起こらない限り、前の「2-3」の5人を代えるという形だ。

圧倒的なドリブルテクニックを持つ川崎・三笘(右)=共同

圧倒的なドリブルテクニックを持つ川崎・三笘(右)=共同

もちろん、決定力抜群の小林や、圧倒的なドリブルテクニックで相手守備を切り裂く三笘のような「切り札」をベンチに置くメリットは大きい。「首位攻防」のG大阪戦では、後半開始とともに投入された三笘に相手守備陣が過敏になり、大島からパスを受けた三笘が左からドリブルでペナルティーエリアにはいったときには3人もの選手が引きつけられた。三笘はフリーになった大島にパス、大島が右足を振り抜いてゴールに突き刺した。

「大黒柱」と言っていいMF中村憲剛が昨年の左膝故障から出遅れ、まだベンチにもはいっていない状況ながら、今季の川崎は完全に「2チーム分」の攻撃陣を用意し、「ターンオーバー」で起用しながら、交代選手が活躍するという理想的な形になっている。

DF陣は固定メンバーで稼働

攻撃陣5人の「総入れ替え作戦」は、今季の川崎が目指している前線からの攻撃的なディフェンスを支える力にもなっている。誰が出ても活躍するから、攻撃の選手でありながら、守備面でも誰も手を抜くことができない。

今季限りの5人交代枠を、川崎・鬼木監督はここまで全試合で使い切っている=共同

今季限りの5人交代枠を、川崎・鬼木監督はここまで全試合で使い切っている=共同

この攻撃陣を大きくサポートしているのが、今季湘南ベルマーレから移籍したDF山根だ。右サイドバックとしてこれまで全試合に先発し、ほぼフル出場。東京ヴェルディのアカデミー育ちだが、桐蔭横浜大を経て2016年に湘南に加入、翌年から3バックの右サイドで攻守に活躍を見せてきた。守備が強いうえに抜群の運動量と切り替えの速さを生かして攻撃面でも活躍し、すでに2得点を記録している。右サイドに大きく開いてプレーするMF家長昭博の内側に走り込み、チャンスをつくり、シュートを放つプレーで、今後日本代表に選ばれる可能性も十分ある。

だが川崎にも不安材料がある。鬼木監督は「選手層はいちばん厚い」と胸を張るが、攻撃陣と比較すると、守備陣の選手層が極端に薄いのだ。

川崎キャプテンのCB、谷口(右)はフル出場している=共同

川崎キャプテンのCB、谷口(右)はフル出場している=共同

今季第8節まで、キャプテンでセンターバックのDF谷口彰悟がフル出場、山根も全試合で先発し、左サイドバックの登里享平も7試合先発し、1試合交代出場。この3人にブラジル人DFジェジエウを加えた4人がレギュラーだが、ジェジエウが第4節の柏レイソル戦で負傷すると、とたんに苦しくなった。

日本代表経験のあるDF車屋紳太郎がその穴を埋めたが、柏戦を含めジェジエウがいなかった3試合は、いずれも失点を喫した。ジェジエウが復帰して2試合目G大阪戦は、5試合ぶりの無失点勝利だった。

ACL出場を逃し、日程には余裕も

GKも不安材料のひとつだ。これまで鄭成龍が全試合でゴールを守っているが、韓国代表67試合という大ベテランにもやや衰えが見え、そのうえに鄭成龍に負けない力をもっていた新井章太がJ2の千葉に移籍してバックアップに不安がある。11シーズン目のGK安藤駿介と今季セレッソ大阪から移籍したGK丹野研太が交互に4試合ずつサブにはいっているが、どちらにも不安があるという証明になってしまっている。

まもなく川崎の大黒柱、ベテラン中村憲剛(中央も)復帰する=共同

まもなく川崎の大黒柱、ベテラン中村憲剛(中央も)復帰する=共同

攻撃陣では、第6節まで攻撃を牽(けん)引したFW長谷川竜也が故障で離脱しているが、中村の復帰も間近と言われており、今後複数の故障者が出ても対応は可能だろう。だがGKと守備陣に故障者が重なったら、試合は不安定になる。

Jリーグは8月、9月、10月と、今後も「月6試合」の過密日程。アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場の「重荷」がない川崎の圧倒的優位は変わらないが、昨年取り逃がした優勝を確実にするためには、8月28日までの「第2登録期間」にDFなかでもセンターバックとGKの補強が必要だ。

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