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九州の海になお大量流木 豪雨漂着物、漁業の妨げに

八代海の海岸には大量の流木が打ち上げられている(7月30日、熊本県宇城市)

九州を襲った豪雨で氾濫した球磨川などから熊本県沖の海に流れ込んだ流木やごみが、漁業の妨げとなっている。県や国土交通省は回収作業を進めるが、量が膨大で完了のめどは立たない。豪雨から4日で1カ月、このまま台風シーズンを迎えれば新たな災害につながる恐れもある。

7月30日昼、同県宇城市の八代海の海岸では、強い日差しが照りつける中、ショベルカーに乗った作業員が流木の撤去作業を進めていた。

積み重なった木の枝や車のタイヤ、冷蔵庫などがあたり一面を覆う。根こそぎ流された大きな切り株も漂着していた。

「まだ網が入れられず船は出せない。漁業者の収入はゼロだ」。松合漁業協同組合(同市)によると、例年盛んなシバエビの流し網漁などの再開の見通しが立っていない。流木で壊れた船もあり、担当者は「漁ができない状況が長期化しそうだ」と表情を曇らせる。

同市では7月21日から撤去作業が始まったが、この時期特有の南風や、潮の満ち引きの影響で海から毎日のように流木などが流れ込み、漂着物が増え続けているという。

同県八代市周辺では比較的撤去が進んでいるが、海底に沈んだ流木による破損を避けるため、漁をなお控えている人が多いという。同市でシバガレイやワタリガニなどの漁を営む平田正一さん(55)は「新型コロナウイルスの影響で飲食店の仕入れが減り、ただでさえ魚の値段が下がっているのに、思うように漁ができないのはつらい」と頭を抱える。

有明海でも一連の豪雨で多くの漂着物が発生した。福岡有明海漁業協同組合連合会(福岡県柳川市)によると、流れ込んだ土砂などの影響でアサリが半数ほど死んだ可能性があるという。国交省九州地方整備局が清掃船4隻で連日流木などの回収にあたるほか、地元の漁業者も回収作業を進めている。

熊本県港湾課によると、八代海と有明海の沿岸にある漂着物は計約3万3千立方メートルに上る。7月28日時点で回収できたのは1万4千立方メートルと半分以下。量の多さに加え、干潟や崖などでは重機を使って取り除くことができず作業が難航している。担当者は「他の災害対応もあり人手も十分ではない。撤去完了のめどは立たない」と話す。

熊本県八代市で行われる流木の撤去作業=共同

台風シーズンを迎え、新たな災害が発生するリスクもある。宇城市では1999年9月の台風18号で高潮が発生し、12人が死亡するなど大きな被害を受けたこともある。市担当者は「台風の時期が来るまでにはなんとか撤去作業を終えなければ」と危機感を募らせる。

現地調査に入った熊本大大学院の辻本剛三教授(海岸工学)は「漂着物が海岸の消波ブロックの隙間に入り込むと波の威力を抑える機能が低下する」と指摘。「撤去が進まないまま台風が上陸し、流木が入り交じった高潮が堤防を越えれば、建物を壊すほどの勢いになる可能性もある。とにかく流木を取り除いていくことだ」と話した。

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