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台湾のIT見本市、米中摩擦で日本に秋波

アジア有数のIT(情報技術)見本市「台北国際電脳展」(コンピューテックス台北)が日本に秋波を送っている。IT機器の受託生産を得意とする台湾企業の商談の場として約40年の歴史を持つが、日本語のサイトをこのほど初めて開設した。米中摩擦が中国に流れた日本の顧客を取り戻す好機と判断している。

コンピューテックス台北の主催団体のひとつ、台北市コンピュータ協会(TCA)は内部に「TIPPC」と呼ぶ日本専門のチームを設け、3月に日本語のサイトを開いた。パソコン用マザーボードなど台湾製ITモジュール(複合部品)の製品情報を日本語で細かく発信している。

新型コロナウイルスの流行を受け、今年のコンピューテックス台北は初の中止となったが、関連情報は流している。吉村章TCA駐日代表は「英語で情報発信すれば十分だという本部の意識がコロナ禍や米中摩擦で変わった」と語る。

コンピューテックス台北は1981年から年1回開いてきたIT見本市の老舗だ。パソコンなどのOEM(相手先ブランドによる生産)が得意な台湾勢は域外企業とマッチングを行ってきた。欧米のクリスマス商戦に間に合うよう、5月末か6月初めに開幕するのが定番だった。

主力製品がスマートフォンやあらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器に移っても存在感を保ち、域外からのバイヤーは4万人を越えて増え続けている。ただ近年は「世界の工場」である中国で類似の見本市が増え、意義が薄れているとの見方もあった。

「台湾の工場で作られた製品の情報には『メード・イン・タイワン』と明記するよう本部に伝えている」(吉村氏)。台湾IT企業の間では数年前、人件費が高騰した中国からの工場回帰が始まり、米中摩擦を受けて加速している。正真正銘の台湾製IT機器が再び増える傾向にある。

約4千人と毎年、国・地位域別のバイヤー数で首位を争う日本の顧客に「チャイナ・フリー」はひとつの売り物となる。コロナ禍で今年のコンピューテックス台北が中止となった分、TIPPCの日本語サイトなどオンラインでの情報発信に力を入れている。

「IT機器の小規模な量産に応じてくれる会社は中国より台湾の方が多い」。台北在住コンサルタントでIT業界に詳しい吉野貴宣パングー代表はこう指摘する。中国では広東省深圳市などにOEM受託会社が集積しているが、日本企業の注文には台湾メーカーの方がきめ細かく応えてくれるという。

台湾には知的財産を守ってくれる、社会全体が親日的である、といった安心感もある。市場や量産の規模で中国に及ばないが、規模を追わないIT企業には有力な協力相手になり得る。

(アジアテック担当部長 山田周平)

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