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残業代依存の家計に黄信号 人事評価の激変に備えよ

新しいお金の生活様式(6)

引き続き、ウィズコロナ時代のお金の問題を「新しいお金の生活様式」として考えています。今月は「働き方編」として仕事についてフォーカスしています。

~長時間働いて稼ぐ、ダラダラ残業は終了へ~

長年にわたり、会社員は「労働時間」が重要な物差しでした。「何時から何時まで働く」のが原則で、それより多く働いた場合は残業代を支払ったり、残業時間を制限したりするような考え方です。

これはこれで不当な長時間労働を防ぐためには重要な労働管理なのですが、知的生産にはあまり向いていないことが難点でした。例えば、同じクオリティーを半分の時間でクリアできる人が定時退社しているのに、ダラダラ残業をしている人のほうが残業代が多くもらえたりします。

また、働き方の多様性にもマッチしません。保育園の送り迎えもしつつ、がんばって一人前の仕事をしても、「労働時間が2時間足りない」と給料がガクンと減るケースもあります。時間の融通も利かせにくいところです。

人事評価はアウトプットや時間生産性を加味して行うべきだということは、実は何年も前から多くの人事コンサルティングが指摘していたところです。しかしその変化はゆっくりとしたものでした。

これもテレワークの導入により、大きな変化が始まろうとしています。ダラダラ残業で給料を上乗せをするような思考を捨てる時代がやってきたのです。

~テレワークでジョブ型雇用への切り替え~

テレワークを一部ないし多くに導入する場合、テレワークをした社員の業務評価や労働管理が必要になります。このとき「会社に座っている時間」は意味がなくなります。むしろ「何をしたか」が重要です。

また、労働時間はあまり重みがなくなります。ダラダラ残業をして稼ごうとしても、「会社にいた」という証明がないので、会社はそれを本当に仕事をしていたのかと疑います。あるいは「なぜ時間内にできないのか」と評価を下げるようになります。基本的にテレワークでは残業をさせない方向に会社は動いていくでしょう。

すると、知的労働では「何をしたのか」「質の高いことができたか」のほうが問われるようになってきます。

また、ケースによっては一律の労働時間で考える必要もなくなります。子どもの送り迎えなどをこなして9時半から働き始めても、しっかり業務をこなせるならOKですし、子どもが寝た後に数時間働くほうが集中できるなら、それを認めてもいいわけです。

今までこうした時間的自由は「正社員かフリーランス(個人事業主あるいは請負契約)か」という働き方で区別され、正社員には時間的自由があまりありませんでした。テレワークの進展と「ジョブ型雇用」への切り替えにより、今後は正社員にも影響の範囲が及ぶことになりそうです。

~人事評価は「内容」「効率」を見る~

もちろん、ジョブ型雇用への切り替えが進んだとしてもあなたがまじめに仕事をしているのなら、それほど心配する必要はありません。「業務時間内にきちんとノルマをこなしてきた」という人はむしろ正当な評価を得るチャンスになるでしょう。

年功序列的な人事評価がまだ残っていた会社であれば、むしろ若くて優秀な人は高い報酬を得るチャンスに恵まれるかもしれません。

しかし、気をつけなければいけないのは「周囲に合わせるのが仕事(特に上司の顔色を見て流れに乗る)」と考えていた人や「残業代込みの収入を前提に生活をやりくりしている」というような人たちです。

一律に評価される時代は終わっていきます。ぜひ、自分が提供できる仕事のアウトプットとその達成時間について自覚してください。クオリティーやボリュームについて、同僚との相対的な目線も持ちたいところです。

そして「会社は自分の能力を相応に評価してくれるか」を冷静にチェックする意識も高めたいものです。

会社員になるとどうしても「どうせ会社は評価してくれないだろう」とか「どうせ同僚とは横並びなのだろう」と考えがちです。しかし、そういう時代が一気に終わろうとしているのがウィズコロナ時代、ポストコロナ時代なのかもしれません。

~働き方と稼ぎ方のルール変更に乗り遅れるな~

本連載のタイトルである「Life is MONEY」に戻って考えると、私たちの「稼ぎ方のルール」が変わってきていることにどう向き合うかは経済的大問題です。

その影響は生涯賃金にしてみると数千万円になるかもしれませんし、場合によっては1億円に届くかもしれません。それくらいのインパクトがあると考えてみてください。

あなたの年収を上げる方法は「長い時間働く」か「高い評価を受けて時給を高める」かしかありません。しかし長い時間働こうとしても、ダラダラ残業が許されなくなるのは働き方改革に始まりテレワークで確実なものとなっていくでしょう。

だとすると「時給」を高めることにどん欲になるのがこれからの稼ぎ方のカギとなります。そして時給を高める人事評価のルールが「同期は一律に昇級」「年功序列で先輩から順番に昇格昇給」のようなやり方から脱皮しようとしている「波」にうまく乗ることが大切です。

こうした流れ、一度動いた針は戻ってこないと思います。新型コロナウイルスの影響から社会が脱したからといって、ダラダラ残業で稼げる時代はもう戻ってはきません。

あなたはどう働き、どう稼ぐのか、今こそ真剣に考えてみましょう。残業がなかったり、通勤時間がなくなったりした今は絶好のチャンスかもしれません。

◇  ◇  ◇

FP山崎のLife is MONEY」は毎週月曜日に掲載します。

山崎俊輔(やまさき・しゅんすけ)
フィナンシャル・ウィズダム代表。AFP、消費生活アドバイザー。1972年生まれ。中央大学法学部卒。企業年金研究所、FP総研を経て独立。退職金・企業年金制度と投資教育が専門。著書に「読んだら必ず『もっと早く教えてくれよ』と叫ぶお金の増やし方」(日経BP)、「大人になったら知っておきたいマネーハック大全」(フォレスト出版)など。http://financialwisdom.jp

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ファイナンシャルプランナーの山崎俊輔氏が若年層に向けて、「幸せな人生」を実現するためのお金の問題について解説するコラムです。毎週月曜日に掲載します。

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