中国民間PMI、9年半ぶり高水準 景気対策縮小へ

習政権
2020/8/3 18:15
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【北京=原田逸策】中国メディアの財新と英調査会社IHSマークイットが3日発表した2020年7月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は前月より1.6ポイント高い52.8に上昇した。11年1月以来、9年半ぶりの高水準だ。雇用不安や景気対策の縮小など先行きには不透明感もある。

PMIはアンケート調査などをもとにつくる指数。50を上回れば景気がよいとされる。中国のPMIには国家統計局が公表する政府版と財新などによる民間版がある。民間版は調査対象に民営企業が多く、中小企業の景況感を映しやすいとされる。

民間版PMIは3カ月連続で上昇した。柱の生産と新規受注がいずれも大幅に改善した。財新シンクタンクの王喆高級エコノミストは「(北京や大連など)一部地域で新型コロナウイルスの感染が拡大したが、経済回復の大きな流れは変わっていない」と指摘した。

調査対象に民営企業が多い、長江商学院の経営状況指数も7月に前月より2.3ポイント高い51.4に上昇した。5カ月連続の改善で、好不調の節目となる50を1月から6カ月ぶりに上回った。

7月の政府版PMIも51.1と改善したが上昇幅は0.2ポイントにとどまった。規模別でみると中小企業は前月比0.3ポイント低い48.6となり、節目の50を2カ月連続で下回った。国務院発展研究センターの張立群研究員は「改善幅は小さい。需要不足は依然として突出した問題」と指摘する。

2つのPMIの動きがずれるのは、調査対象の企業の数に1つの原因がありそうだ。政府版が国有企業など3千社を網羅するのに対し、民間版は約500社にとどまる。民間版PMIはこれまでも一時的に値がふれることがあった。9年半ぶりの高水準といっても、新型コロナを乗り越えたばかりの中国経済に11年当時の力強さを感じる人はほとんどいない。

共通して浮かび上がるのは雇用の弱さだ。PMIの雇用指数は民間版では7カ月連続、政府版も3カ月連続で50を割った。従業員が減りつづけていることを示す。財新の王氏は「生産と需要の回復が雇用改善につながっていない。一部の企業は増産しても雇用拡大に慎重だ」と指摘する。雇用不安は個人消費の回復の遅れにつながる。

共産党政治局会議が7月末に決めた下半期の経済運営方針は、財政政策、金融政策ともに景気下支えを縮小する方針を示唆した。あふれたマネーが投機先を求め、深圳など一部で資産バブルがみられたからだ。

4~6月の国内総生産(GDP)のプラス成長をけん引したのは不動産と建設だ。1~6月の固定資産投資は不動産は前年同期比2%増えたが、インフラや製造業は前年割れ。建設業の4~6月の成長率は、前年同期比7.8%と4年ぶりの高水準だ。好調なマンション工事を受注した建設会社が潤った構図だ。

新型コロナ後、各地の地方政府はマンションの売買規制を表向きは維持しながらひそかに運用を緩めてきたが、深圳市は7月中旬から厳しい売買規制を敷いた。野村国際の張正宇氏は「規制強化で7~9月の不動産売買は4~6月より落ちる」とみており、景気の不透明要因となりそうだ。

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