7月前半、消費回復足踏み 居酒屋など落ち込み拡大
新型コロナウイルスの感染が再拡大し、個人消費の回復が足踏みしてきた。JCBカードの購買データに基づく指数によると、6月後半まで回復が続いた居酒屋やファミリーレストラン、百貨店などの消費が7月前半に再び落ち込んだ。キャッシュレス決済のポイント還元が6月末に終わる直前に駆け込み需要があった反動もみてとれる。
ナウキャスト(東京・千代田)とJCBが3日まとめた7月前半の消費指数によると、百貨店は前年同期を21.4%下回った。政府の緊急事態宣言が全国に出ていた4月後半の73.0%減を底に6月後半は11.1%減まで持ち直していた。
服・身の回り品は1.0%減った。4月後半の31.1%減を底に6月後半に12.2%増まで回復していた流れが変わった。10万円給付金で記録的な売れ行きとなった家電製品などの機械器具や家具は5月後半をピークに増加幅が縮小している。
サービス分野では居酒屋が38.6%減った。店舗の休業や営業時間の短縮で4月後半に87.5%減に落ち込み、6月後半には37.1%減となっていた。
6月後半まで回復が続いたファミレスや鉄道旅客、航空旅客も7月前半は減少幅が拡大した。
4~5月に大きく落ちたホテルや映画館、遊園地は回復が続く。7月前半はそれぞれ46.2%減、75.9%減、40.9%減と水準はなお低い。
モノとサービスを合わせた消費動向の総合指数は4月後半の26.4%減から6月後半は3.4%減まで持ち直し、7月前半に6.7%減と再びマイナス幅が広がった。
ニッセイ基礎研究所の久我尚子氏は「感染拡大で消費者心理が落ち込んだ。外出を自粛する人も増えている」と話す。
内閣府が3日発表した1~3月期の国内総生産(GDP)再改定値は前期比年率2.2%減と6月時点の改定値とほぼ同水準だった。日本経済新聞が7月末に集計した23社のエコノミストの予測平均は4~6月期が26.3%減、7~9月期は11.9%増だった。消費の足踏みが続けば、7~9月期のGDPが下振れする可能性もある。
西村康稔経済財政・再生相は3日の記者会見で「足元の感染拡大の状況や豪雨、長雨の影響も出てくる」と述べた。

新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?