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試合勘か体力温存か ウッズ、全米プロへの戦略

ゴルフジャーナリスト ジム・マッケイブ

米男子ゴルフはコロナ禍で大幅に予定が変更されたことから、今週、いよいよ今季最初のメジャー大会が行われる。以下のデータだけを切り取って判断するなら、この選手が全米プロ選手権(カリフォルニア州、TPCハーディングパーク)で勝つチャンスは少なそうだ。

・2020年のラウンド数は12。ベストスコアは69。通算8オーバー。

・18~19年シーズンの最後の6大会は予選落ちが2回、途中棄権が1回、トップ10は1回、平均スコアは71.18。

ただ、その選手がタイガー・ウッズ(米国)となると、ちょっと話が変わってくる。例えば昨年10月、彼は日本で行われたZOZOチャンピオンシップで優勝し、米ツアーでの通算勝利数を82に伸ばしてサム・スニード(米国)の最多勝記録に並んだ。19~20年シーズンは左膝の手術の影響もあり、開幕から6試合を欠場し、ぶっつけ本番で臨んだ大会で快勝したのだった。

ウッズの場合、これまでも故障や休養で長期欠場をしてきた。他の選手であれば、試合勘を取り戻すまで時間を要することが多いが、ウッズはブランクの影響を感じさせず、体力温存などがプラスに働くケースが少なくない。それは不思議でもあるのだが、いくつかその例を紹介する。

引退ささやかれた42歳、それでも復活

08年、ウッズはマスターズ・トーナメントで2位になった後、痛めている左膝を休めるため、大会から2カ月も遠ざかった。ところが、久々に出場した全米オープンでは、プレーオフの末、優勝を果たしている。その後、その全米オープンで悪化させた左膝を手術したことで、およそ8カ月間をリハビリに費やすことになった。ところが、09年はオーストラリアのマスターズなど、海外の試合も含めれば19戦で7勝を挙げ、さらにはプレーオフ(フェデックスカップ)も制してしまった。

その年の11月に私生活のスキャンダルが発覚し、それがゴルフにも影響したか、10年と11年はツアー未勝利に終わった。同時に、30代半ばとなったウッズも年齢による衰えを見せ始めたのでは、との声も聞かれたわけだが、12年と13年は計8勝を挙げ、健在ぶりを示している。その後、再び故障などで大会から遠ざかり、14年から17年の4年間は、非公式などを含めても24試合にしか出場していない。その間、ツアーでトップ10に入ったのは1度だけ。

彼は17年の暮れに42歳となり、衰えどころか、このまま競技生活から離れるのでは――。つまり、引退さえささやかれた。ところが、17~18年シーズンに復活。プレーオフの最終戦でもあるツアー選手権で5年ぶりに優勝すると、フェデックスカップのタイトルにも、あと一歩というところまで迫った。

ジャック・ニクラウス(左)が持つメジャー最多勝利記録まで、ウッズはあと3勝としている(2012年6月)=AP

昨年は、4月のマスターズ・トーナメントでなんと14年ぶりに優勝。メジャーの通算勝利数を15に伸ばし、ジャック・ニクラウス(米国)が持つ最多勝利記録(18回)にあと3勝とした。そして、先ほども触れたように10月のZOZOチャンピオンシップで優勝。再び、センターステージへ舞い戻り、延期になったものの、今年8月に開催予定だった東京オリンピック出場に意欲を見せた。

では、今回はどうか。

過去5勝を挙げ、先月中旬に行われた相性のいいメモリアル・トーナメントでは、かろうじて予選を通過し、40位タイに終わった。ベストスコアは71。約5カ月ぶりのトーナメントということもあってさすがにブランクを感じさせたが、彼はその後の大会出場を見送り、今週の全米プロ選手権に照準を合わせた。普通の選手であれば、怖くてできない日程の組み方である。

ウッズは7月のメモリアル・トーナメントで40位に終わった=USA TODAY

ただ彼は、ざっと紹介したように、もちろん、手術とそれに伴うリハビリで欠場を余儀なくされたことも多々あるが、必要に応じて体力温存を優先し、目標とする大会にフォーカスし、結果を出してきた。それが44歳となった今でも可能なのかどうか分からないが、この戦略は、今後の過密日程を見据えたものでもあろう。

全米プロ選手権の2週間後にはプレーオフが始まる。全米プロ選手権の結果次第では、フェデックスポイントが足りない関係で、3週連続でプレーオフを戦わなければならないかもしれない。また、プレーオフが終わった2週間後には、延期されていた全米オープンが行われる。そうした大きな大会は、来年に延期された東京オリンピックの出場権にも影響するだけに、軽視できない。

そんなすべてを含んでのシナリオだと想像できるわけだが、果たしてウッズの選択が今回、どう出るのか。一方でファンには、毎週のようにウッズを見られるチャンスである。

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