日本株の5つに1つが10倍高 実はリーマン以降に達成
日の丸テンバガー大研究(上)

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2020/8/4 2:00
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テンバガー(Ten Bagger)──。価格が10倍以上に上昇する大化け株を指す米ウォール街の業界用語だ。株式投資を手掛ける人の多くが、「一度はそうした銘柄をものにしてみたい」と思うのではないだろうか。日本で実際にテンバガーとなった銘柄はどれだけあり、どんな特色を持っているのか。過去の実例を調べてみた。その結果を2回にわたって紹介する。

東京証券取引所に上場している銘柄の5つに1つは、2008年のリーマン・ショック以降にテンバガーになったことがある──。日経マネーが過去の大化け株の実例を調べたところ、こうした実態が明らかになった。

調査の対象は東証1部・2部、新興企業向けの東証マザーズとジャスダックの4市場に上場している3675銘柄(7月末時点、外国企業を除く)。08年9月に起きたリーマン・ショックから日経平均株価が年初来高値を付けた今年1月20日までの最安値と最高値を比較。最安値から10倍以上の上昇を遂げたことがある銘柄を抽出した。期間を今年1月20日までとしたのは、2月以降に起きたコロナショックによる暴落とその後の相場回復で10倍高を達成した銘柄を除くためだ。

最安値から10倍以上に上昇したことがある銘柄の数は、839に上った。単純に計算すると、4市場に上場する3675銘柄の22.8%に相当する。100年に1度と言われた金融危機による急落の影響が大きいとはいえ、「意外に多い」という感想を抱く人が多いのではないだろうか。

市場別の内訳を見ると、東証1部が最も多く461銘柄(同部上場2172銘柄の21.2%)。ジャスダックが224銘柄(同699銘柄の32.0%)、東証2部が100銘柄(同479銘柄の20.8%)、東証マザーズが54銘柄(同325銘柄の16.6%)。調査対象の期間中は、ジャスダックが最もテンバガーを見つけやすい市場だったと言える。

■100倍以上は33銘柄、303倍になった銘柄も

3675銘柄の中で最も上昇率が大きかったのは、東証1部に上場している医療用器具メーカーの朝日インテック(7747)。調査対象期間中の最安値は、リーマン・ショック直後の08年10月28日に付けた10.88円(株式分割・併合を反映、以下同)。最高値は今年1月14日の3300円。11年余りをかけて、最安値から303倍に上昇した。

上昇率の内訳を見ると、20倍以上になった銘柄が338と全体の4割を占めた。このうち、50倍以上に上昇したのは93銘柄(全体の11.1%)。100倍以上に絞ると、33銘柄もあった(同3.9%)

100倍以上にも値上がりした33銘柄の顔ぶれを眺めると、アウトソーシングの拡大やスマートフォンの普及など、いずれもリーマン・ショックの後に時代の趨勢となった大きなトレンドに乗り、業績を伸ばした企業であることが分かる。これからテンバガーになる可能性を秘めた有望株を見つける際にも、時代のトレンドを意識することが一つの鍵になるだろう。

■上昇が続く間は粘り強く持ち続ける

839銘柄が最安値から最高値に到達するまでに要した期間は、平均で約7.3年。上昇期間が5年以上にわたった銘柄は649を数え、全体の8割近くを占めた。さらに10年以上に及んだものも112銘柄あった(全体の13.3%)。多くの銘柄が長期にわたって上昇を続けたことが見て取れる。

上昇期間が最も長かったのは、食品スーパーの「業務スーパー」を展開する神戸物産(3038)と日本で初めて量産型の補聴器を開発した医療機器メーカーのリオン(6823)の2銘柄で、11.3年。リーマン・ショック直後の08年10月7日に最安値を付けてから、今回の調査期間の最終日である今年1月20日まで上昇を続け、それぞれ81.3倍、10.1倍になった。

一方、上昇期間が最も短かったのは、大泉製作所(6618)。14年5月19日に最安値を付けた後、106日後の同年9月2日に12.6倍まで上昇した。同社は自動車向け温度センサーの大手だが、売上高が安定している半面、利益は景気の動向に応じて大きく増減する傾向がある。加えて、自動運転や5G、新型コロナウイルス関連など、時々の投資テーマの関連として売買が活性化し、株価が急騰と急落を繰り返してきた。こうした銘柄でじっくりとテンバガーを狙うのは難しいという印象が強い。

上昇期間の長いテンバガーが数多くあることを考えると、業績の拡大に伴って価格の上昇が続く間は、焦って売らずに粘り強く持ち続ける。いわば「買ったらほったらかし」にするのが、大化け株の恩恵をフルに享受する鉄則。この点が改めて浮き彫りになったと言える。

「定期的にチェックしているのは、株価の動きではなく企業の業績。業績に変調が見られず、成長が続いていることを確認している」。テンバガーを実現したことがある株式投資ブロガーのろくすけさん(ハンドルネーム)はこう話す。これは、大化け株をものにしてきたスゴ腕の個人投資家たちに共通する投資スタンスだ。

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■最安値から2~3倍の銘柄を仕込む手も

足元では、コロナショックによる暴落から急反発して、再び割高になった印象を受ける銘柄も少なくない。だが、平均7.3年という839銘柄の上昇期間を考えると、割高に映る銘柄の中にも、これから息長く上昇するものがあるはずだ。

「10倍に値上がりする銘柄ならば、底値から2倍や3倍になった時点で購入しても、5倍高や3倍高を狙える」。ろくすけさんと同様にテンバガーを複数手にしてきた投資ブロガーの会社員投資家、奥山月仁さん(ハンドルネーム)はこう指摘する。

最安値の付近で仕込むのは極めて困難だが、そこから2倍や3倍に上昇した時点であれば、発掘のハードルは下がる。その時点では、業績拡大の原動力となっている商品やサービスが人気を集めていることが、多くの人の目にも明らかになっているはずだからだ。

839銘柄の4割が20倍以上になっていることを考慮すると、最安値から2倍の時点で購入できれば、そこから10倍高を狙えるケースも少なくない。コロナショック後の最安値から足元で2倍に上昇している銘柄の中にも、そうした有望株が潜んでいるだろう。後編では、839銘柄の特色をさらに深掘りして、テンバガーを手にするポイントを探る。

(中野目純一)

日経マネー 2020年9月号 仕込むなら今! 次世代10倍株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/7/21)
価格 : 750円(税込み)

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