給油所3万カ所割れ 19年度末、コロナで今後減少拍車も
ピークからは半減
資源エネルギー庁は31日、全国の給油所数が2019年度末時点で2万9637カ所だったと発表した。ピークの1994年度から25年で半減した。ガソリン需要の減少や人手不足が響いた。新型コロナウイルスによる経営悪化や需要の鈍化で、今後は一段と減少に拍車がかかるとの見方も強い。

18年度末から433カ所減った。全国石油協会(東京・千代田)の19年度調査によると、給油所店員の平均年齢は47歳。小規模な給油所の後継者不足による撤退が増えている。

福島県三島町では5月に給油所が1カ所もなくなった。現在は冬までに石油製品の供給を再開しようと、町や事業者が協議中だ。同県の給油所関係者は「寒冷地のスタンドは灯油の給油拠点でもある。スタンド消滅は命に関わる」と説明する。
給油所ゼロの自治体は19年3月末時点で全国に9町村。このまま各地で減少が続くと今後もこうした「空白地帯」が増えそうだ。
新型コロナも給油所減を加速する。年々2%程度の減少だったガソリン需要のマイナス幅が、今年5月は前年同月比で2割減と広がった。東京都練馬区のスタンド店長は「例年8月はガソリン消費が増えるが、今年は盛り上がりに欠けるだろう」と予想する。
カーシェアの普及なども給油所が減少する一因だ。世帯あたりの自家用乗用車の普及台数は19年3月末時点で1.052台。10年前と比べて3%下落した。ガソリン消費に与える影響も大きい。
石油の流通に詳しい桃山学院大学の小嶌正稔教授は「車を持つ人が減ると、洗車などのサービス需要も減少する」と指摘。「30年までに給油所は2万カ所程度になる」とみている。
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