年後半のIPO投資 リベンジ組に注目、上場後狙いも

日経マネー特集
増やす
2020/8/6 2:00
保存
共有
印刷
その他

個人投資家に人気が高いIPO(新規株式公開)投資。2020年上期は「初値不調・上場後好調」の銘柄が多かった。下半期のIPO投資環境はどうなるか。

■セカンダリー投資は下半期も有効か

上半期のIPOでは上場後に投資する「セカンダリー投資」が有効だった。通販の配送センター業務代行の関通(9326)やセキュリティーソフトのサイバーセキュリティクラウド(4493)が人気化し、初値からの上昇率がそれぞれ一時約5倍となったのは記憶に新しい。

そもそも、なぜ上半期ではセカンダリー投資が効いたのか。

理由の一つは「初値の低さ」にある。コロナショックによる相場の動揺がピークに達しつつあった3月上旬から中旬に上場した案件が多かったこともあり、初値が公開価格を上回った「勝率」は5割強(7月8日時点)。

例年の勝率は9割近いことを考えると、この上半期は、上場前に買って初値近辺で売り抜ける「プライマリー投資」にとって、かなり厳しい環境だったといえる。

逆に言えば、「上昇余地が大きく、上場後には上昇しやすい環境だった」と、いちよし証券の宇田川克己さんは指摘する。

下半期はこの環境が変わるという点には留意が必要だろう。「初値が振るわなかったIPOなら上場後は何でも買える」というムードがあった上半期と違い、下半期のセカンダリー投資ではしっかりと銘柄選別をする必要がありそうだ。

■年後半も小規模案件が相次ぐ見通し

上半期と共通しそうなのは小規模案件が相次ぎそうだという点だ。上半期のIPOでは、1銘柄当たりの吸収金額は約20億円と過去5年では最低水準だった。背景にあるのは、東京証券取引所の市場再編が迫っていることだ。

東証は22年4月をめどに市場を3市場に集約する方針。集約後の上場基準が不透明な中、「小規模案件では駆け込み的に上場しようとする動きが相次いでいる」(宇田川さん)。小規模案件が多いということは、需給が逼迫するため初値は高く出がちだ。「プライマリー投資」向けの案件が多くなるということでもある。

半面、大型案件の上場観測はあまり聞かれない。コロナ禍に伴う経営環境の先行き不透明感の強さから、上場を延期する動きが相次いでいるからだ。

例えばスカイマークはコロナ禍による旅客数の急減を理由に、20年春の再上場を断念。市場には「今年の上場はなさそう」(フィスコの小林大純さん)との声が多い。19年後半に上場観測があったAI(人工知能)開発のプリファード・ネットワークスも、20年の上場はなさそうとの見方が市場関係者の間では目立つ。

もっとも、目玉不在は需給面ではプラスだ。小型IPOに物色が向かいやすくなるためだ。「失敗を避けるために証券会社はIPO案件を厳選するので、今後は少数精鋭になる」(三井住友DSアセットマネジメントの苦瓜達郎さん)との声もある。

■コロナ禍で上場を見送ったリベンジ組も

コロナ禍による市場の混乱で一度上場を見送り、その後改めて上場した「リベンジIPO」にも注目だ。上場の再申請の際、発行条件を当初予定より引き下げて投資家が引き受けやすくしているものが多いためだ。需給面が改善されているため、初値の伸びに期待が持てる案件が多くなりそうだ。

市場関係者の間では、下半期に上場する業種はコロナ禍の悪影響を受けにくいIT(情報技術)関連に集中するとの見方が目立つ。上場後の業績悪化懸念が比較的弱いため、決算を手掛かりに評価が高まるIPO案件も多くなりそうだ。新型コロナの第2波懸念で株式市場の不透明感は強まりつつあるが、銘柄をしっかり選別できれば、下半期もセカンダリー投資は狙い目と言えるだろう。

(川路洋助)

[日経マネー2020年9月号の記事を再構成]

日経マネー 2020年9月号 仕込むなら今! 次世代10倍株

著者 : 日経マネー
出版 : 日経BP (2020/7/21)
価格 : 750円(税込み)

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]