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ホンダ、特許をAIが仕分け 内田洋行と抗ウイルス椅子

日経ビジネス電子版

ホンダは7月30日、自社の知的財産戦略に関連する発表会を開いた。既存の特許など知財に関する領域で人工知能(AI)を活用し、特許の維持更新にかかる手間を低減する戦略を推し進める一方、「標準化」をかけ声にオープンイノベーションにも打って出る。

成果の1つが同日発表した、内田洋行が発売するオフィス用椅子。ホンダが軽自動車用シート向けに開発した抗アレルギー物質、抗ウイルス性能を持つ生地を採用した。ホンダはオープンイノベーションに打って出る技術をAIが決めることも視野に入れているもようだ。

ホンダが全世界で有する特許はおよそ5万件。特に新興国での事業拡大に伴って新興国での特許が増えているという。これを維持するには「年数十億円の費用がかかる」(ホンダの知的財産・標準化統括部の別所弘和統括部長)。しかも年4回、特許の更新が必要かどうかを審査する手間もかかっている。

ホンダは2019年から特許の維持管理にAIを活用し始めた。結果、特許の要不要を判断する人間の判断に対し、85%の適合率があった。AIを活用することで人間による判断が必要な領域を大きく減らすことができるようになった。

そうして選別した特許をどう使うか。これは「競争と協調」の領域になる。例えば自動運転車のように、ホンダの本業の競争力の源泉となる分野では、他社と協業するオープンイノベーションの領域にはしにくい。

一方で、そうでない特許は外部に出して「標準化」し、社会に役立つ技術に「してもらう」ことでホンダとしても知財の有効活用につなげる狙いだ。

今回、内田洋行との協業で出したシート生地に関する特許「アレルクリーンプラス」は、「抗アレルギー物質だけでなく抗インフルエンザウイルスの性能で他社に例がないものだった」(ホンダの四輪事業本部ものづくりセンターの林里恵氏)。そこで、「競合する軽自動車メーカーでなければ条件次第では他の自動車メーカーに出してもいい」(別所統括部長)と判断。自社に残す特許ではあったが、非競争領域として外部の企業に活用してもらうべき技術ともいえた。

両社の知財担当部門の話し合いから1年半ほどで量産にこぎ着けたのは「早い画期的な事例」(別所統括部長)。内田洋行は自席を決めないで働くフリーアドレスの広がりやウイルスへの関心が高まっている現状を受け、ホンダの生地を使った椅子を年1万脚販売する考えだ。

従来、知財の外部利用に関してはどちらかというと積極的ではなかった印象もあったホンダだが、少しずつ方向を変えようとしている。特許維持にかかる年数十億円の費用を、外部利用などでまかなえるところまできているもようだ。別所統括部長は「将来はオープンイノベーションに生かす技術を選ぶことにもAIを活用できたら」と話す。AIのように管理するツールも進化していく。まだまだ、日本企業の間では守るべきものと思われているケースの多い知財だが、攻めに転じることの意味は大きいといえる。

(日経ビジネス 菊池貴之)

[日経ビジネス電子版2020年7月31日の記事を再構成]

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