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戦火で遠のいた五輪の夢再び シリア出身レスリング選手

2020/7/31 12:19
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シリア出身のレスリング選手が内戦で一度は遠のいた「五輪出場の夢」をかなえようと、エジプトで挑戦を続けている。難民選手団の候補に選ばれたアミール・アワドさん(36)。五輪延期も「より強くなるための時間」と前向きに受け止めた。国外で避難生活を送る550万人のシリア難民を代表し、東京のマットに上がる夢に向かう。

トレーニングするアミール・アワドさん=右(エジプト・アレクサンドリア)=共同

トレーニングするアミール・アワドさん=右(エジプト・アレクサンドリア)=共同

かつて西アジア選手権(2010年)など数々の大会を制した実績を持つ。9歳で始め、のめり込んだレスリング。五輪でメダルを取るため「全てを注いだ」。しかしシリアは11年3月の反政府デモをきっかけに、今も続く内戦に陥った。

アサド政権軍と反体制派の激しい戦闘に巻き込まれ、首都ダマスカスの家は崩壊した。12年のロンドン五輪のことを考える余裕はなくなった。翌年、エジプト北部アレクサンドリアに避難した。

当初は地中海を望むアレクサンドリアから欧州に渡り、競技を続けられないか考えた。だが妻と幼い子どもを連れて危険な密航はできないと断念。五輪の夢は忘れるしかなかった。

シリア料理店で働きながら地元の子どもたち向けのレスリング教室を開いた。指導者として将来の五輪選手を育てられたらいい。そんな思いも芽生えていた。

しかしチャンスは突然訪れた。高価なレスリング用の靴も準備できないまま出場した18年7月のアラブ選手権で銀メダルを獲得。昨秋、東京五輪での難民選手団結成に向け、国際オリンピック委員会(IOC)が支援する49人の候補の1人に選ばれた。

五輪の延期は「試合への準備期間が延びただけ」と意に介さない。ジムは閉鎖され、トレーニングは自宅でするしかないが「IOCの支援が続く限りは諦めない」と話す。五輪を目指してレスリングに打ち込めることが何よりうれしいという。

内戦前のように専属コーチがいる環境ではない。30代半ばを迎え、パワーやスピードは落ちた。ただレスリングはそれだけでは勝てない競技だと言う。「多くの経験を乗り越えてきた」自負がある。コロナウイルスの脅威は世界中に広がったが、困難な状況に直面してこそ「本当の強さが問われる」と語った。(アレクサンドリア=共同)

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