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ロシア・ベラルーシ同盟に亀裂 30人超の戦闘員、騒乱画策か

【モスクワ=石川陽平】旧ソ連のベラルーシの情勢が緊迫してきた。30日、前日にミンスクで拘束した30人を超すロシアの戦闘員に対し「テロ容疑」で捜査を始めた。8月9日の大統領選を前に、ロシアとの同盟関係に亀裂が走っている。

ベラルーシのラフコフ安全保障会議書記は30日、29日に拘束したロシア人の戦闘員について、テロ行為を企てた容疑で捜査に着手したと明らかにした。戦闘員は合計32人で、非公式に軍事サービスを提供する通称「民間軍事会社ワグネル」に所属しているという。

ワグネルの戦闘員拘束に関して、捜査当局は30日、大統領選に向けて「大規模な騒乱」を画策していた疑いがあると説明した。ワグネルはロシアのプーチン大統領に近い実業家が関与していたとされ、雇い兵をウクライナ東部や中東の紛争などに送り込んでいる「闇の戦闘集団」だ。

ベラルーシの捜査当局によると、29日には32人の拘束とは別に同国南部でもロシア人の戦闘員1人を拘束した。ベラルーシ国内には約200人の戦闘員が入り込んでいると見ている。当局者は同国国境に近いロシア西部に戦闘員集団が集まっているとも指摘した。

6選を目指すルカシェンコ大統領はロシアと距離を置く姿勢を支持者に訴え、ロシアによる大統領選への干渉の可能性もかねて示唆していた。治安当局は、「ロシア離れ」を強めるルカシェンコ政権に、ロシアが揺さぶりをかけようとしていると疑っているようだ。

これに対し、ロシアのペスコフ大統領報道官は30日、ベラルーシ情勢を不安定にする意図があるとの見方が出ていることについて「全くの中傷だ」と否定した。スルツキー下院外交委員長も同日、同盟相手の選挙に干渉することなどありえないと強調した。

ワグネルの戦闘員がベラルーシに入った目的には他にも諸説ある。

ロシアの駐ベラルーシ大使は30日、ミンスク経由で中東に向かう予定だったと語った。ロシアでは独裁的なルカシェンコ政権の打倒を画策する欧米の動きを阻む狙いがあったとの指摘や、同政権内の大統領の反対派や第三国による挑発行為だとの見方も出た。

ベラルーシでは今回の事件を機に、政権が治安の強化に動く可能性が高い。ルカシェンコ大統領は経済低迷や強権的統治で支持率が低下するなか、6選に向けて有力な対立候補を相次ぎ逮捕するなど抑圧的な姿勢を強めてきた。それでも、残る反政権派候補の集会には不満を強める市民の参加が広がっていた。

捜査当局は30日、すでに拘束している反体制派の政治家や人気ブロガーに対しても「大規模な騒乱」を画策したとの新たな容疑で捜査すると発表した。ルカシェンコ政権が緊急事態を宣言し、大統領選を延期するとの懸念も浮上し、ロシア人戦闘員の事件も危機をあおる自作自演ではないかとの見方もくすぶる。

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