FRB、追加策は2案が軸 長期のゼロ金利を確約へ

2020/7/30 23:02
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【ワシントン=河浪武史】米連邦準備理事会(FRB)は29日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、ゼロ金利政策と量的緩和政策の維持を決めた。大量の緩和マネーを流し込んだが、新型コロナウイルスの猛威で景気のV字回復は困難だ。パウエル議長は9月の次回会合で追加策を決定する可能性も示唆した。

「6月に感染者が再び増えて以降、ホテルの稼働率は下がり、飲食店にも消費者が行かないようになった。経済活動は鈍化するリスクがある」。パウエル議長は29日の記者会見で、景気回復のもたつきに強い懸念を表明した。

FRBは3月にゼロ金利と量的緩和を復活させ、金融政策は既にフル稼働だ。にもかかわらず、景気の回復は遅れ、追加策が不可欠になってきた。パウエル議長は具体策として、量的緩和の拡充と、ゼロ金利政策を長く続けると確約する「フォワード・ガイダンス」の導入に言及した。

FRBは3月に再開した量的緩和で、米国債を月800億ドル(約8兆4千億円)、住宅ローン担保証券(MBS)も同400億ドルのペースで買い入れている。購入規模は既に2008年の金融危機後の量的緩和第1~3弾を上回っており、現在の買い入れペースを大きく引き上げる余地は小さい。ただ、足元では短中期債の購入割合が大きく、これを長期債に切り替えて長期金利を押し下げていくことが可能だ。

フォワード・ガイダンスは、長期にわたってゼロ金利を維持すると確約して、企業家や投資家に安心して資金調達してもらう仕組みだ。FRB内には「物価上昇率が2%を上回るまで、ゼロ金利を解除しない」と公約する案がある。

FRBは物価上昇率が2%に戻るのは23年以降とみており、同案ならゼロ金利は少なくとも2年半以上続くことになる。失業率に数値目標を設けて、達成まで利上げを見送るアイデアもあり、FRB内で具体策を詰める。

FRBは3月に量的緩和とゼロ金利を復活させた以降、社債・コマーシャルペーパー(CP)の購入など、市場の資金繰り対策を優先させてきた。景気の立て直しに動く前に、企業倒産のような「出血」をまず止める必要があるからだ。量的緩和など金融政策の拡充は「非常時対応が必要なくなってから」というのがFRBの考えだ。

実際、市場への大量の資金供給で、FRBの保有資産量は7兆ドルとコロナ危機前から3兆ドルも増えた。一時急騰した社債金利は再び低下し、金融システムリスクは和らいでいる。全米破産協会の調査では、再建型の連邦破産法11条の適用申請は増えているが、清算型も含めた4~6月の企業倒産はむしろ前年比25%減と少なく済んでいる。

「止血」が確認できれば7月29日の今回の会合で、金融政策の拡充に踏み切る考えだったが、新型コロナの再拡大で様子見が必要になった。企業の倒産や労働者の失業が再び増えれば、特定の市場を狙い撃ちした非常時対応が再び必要になるためだ。

FRBは3月以降、中小・中堅企業に融資する「メインストリート貸出制度」など2兆ドル規模の資金供給策を用意したが、米議会は4兆ドル規模の資金枠を認めている。新型コロナの拡大で金融システムが再びぐらつけば、FRBの政策運営は緊急資金供給に軸足が戻る可能性もある。

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