中国、35年までの目標策定 習氏、長期政権に布石

2020/7/30 22:22
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【北京=原田逸策】中国共産党は30日の政治局会議で、重要会議の第19期中央委員会第5回全体会議(5中全会)を10月に開くと決めた。第14次5カ年計画(2021~25年)と同時に35年までの長期目標も示す。習近平(シー・ジンピン)国家主席の長期政権に布石を打つ動きとみられる。

習近平指導部は「35年までに社会主義の現代化を実現する」という目標を示した(5月、北京)=ロイター

国営新華社が伝えた。共産党は年1回は中央委員会の全体会議を開く。5中全会は通常、中期的な経済や社会の数値目標を示す5カ年計画を決める。今回は同計画だけでなく35年までの長期の数値目標も示すという。

習指導部は17年の党大会で「35年までに社会主義の現代化を実現する」という目標を示した。今回の長期目標は、それを具体化する狙いがあるとみられる。米国との逆転が予想される国内総生産(GDP)の目標を示すかなどが注目される。

背景には米国との対立がある。習氏は30日に開いた経済団体などとの座談会で、米国を念頭に「いかなる国家もいかなる人も中華民族の偉大な復興という歴史の歩みを止められない」と語った。米国は対中強硬姿勢を強めており、経済規模や軍事力で劣る中国は持久戦にもちこむ構え。長期目標は持久戦に向けた体制固めの一環といえる。

長期目標を示すことで習氏を中心に国内の団結を促す思惑もありそうだ。中国の指導者はこれまで2期10年で政権を後任に譲る暗黙のルールがあったが、習氏は18年に国家主席の任期を撤廃した。今回の目標も3期目以降の続投に向けた布石と受け取れる。

中国国際経済交流センターの張燕生首席研究員は昨年5月に「米中は激しい摩擦を経て、35年までには新たな協力関係を築く」と語った。別の政府系シンクタンクの研究者は「習氏は自らの手で米中関係を正常化させる腹づもりだ」とみる。

一方、30日の政治局会議は20年下半期の経済運営方針も決めた。

景気の現状は「いまの経済情勢は依然として複雑で厳しく、不安定性と不確実性が大きい」と指摘しながらも「経済は徐々に回復し、生産回復も月を追うごとに好転し、4~6月の経済成長は予想を明らかに上回った」と明るさを強調した。

1~3月のGDP公表直後に開いた4月の政治局会議での「経済が直面する試練は前例がない」とした厳しい景気認識からは大幅に改善した。GDP成長率が1~3月のマイナス6.8%から4~6月はプラス3.2%に改善したのを映した。

経済回復を映し、新型コロナウイルスの景気対策は規模よりも実効性に重点を置くようだ。

財政では「財政政策はさらに積極的かつ効果的なものとし、実効性に重点を置く」とした。4月は財政政策のアタマに「積極的な」と付けていたがなくなった。

金融では「金融政策はより柔軟かつ適度なものとし、方向を正確にする」とした。こちらも金融政策の前についていた「穏健な」との表現が取れた。財政、金融とも大盤振る舞いを縮小し、政策効果の見極めを強める考えとみられる。

経済閣僚らからは「いまバラマキをしてしまうと今後の政策余地が狭まる」との指摘が出ていた。米国との長期対立をにらみ、新型コロナウイルスで膨らんだ経済政策も規模を徐々に縮小させる考えとみられる。

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