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GPSで所在確認、ストーカー規制法の対象外 最高裁

全地球測位システム(GPS)の機器を相手の車に勝手に取り付けて居場所を把握するのはストーカー規制法の禁じる「見張り」に当たるかが争点となった2事件の上告審判決で、最高裁第1小法廷(山口厚裁判長)は30日、見張りに該当しないとの初判断を示した。

見張りに当たると主張した検察側の上告はいずれも棄却した。裁判官5人全員一致の結論。

GPSを悪用したストーカー事件は他にも起きており、現行法の限界が浮き彫りになった。

ストーカー規制法は、恋愛感情などに基づき相手の住居、勤務先、学校など「通常所在する場所」の近くで見張りをすることを禁じている。GPSでの所在確認については明文規定がない。

上告審で審理された事件の一つでは、男性被告(48)が2016年2~3月、別居していた当時の妻の車にひそかにGPSを取り付け、位置情報を取得したことがストーカー規制法違反の罪に問われた。

第1小法廷はストーカー規制法上の見張りについて「相手の住居などの付近で動静を観察する行為」を指すと判断し、男性被告は遠隔で位置情報を得ていたことからこの条件を満たさないと結論づけた。もう一つの事件でも同じ判断を示した。

検察側は「ストーカー規制法は凶悪犯罪を未然に防ぐことを目的にしている。GPSの除外は規制の趣旨に反している」と訴えていた。

18年3月の一審・福岡地裁判決は「ストーカー行為の手段・方法は社会生活の変化に伴い多様化しうる。相手を直接観察することは必須ではなく、電子機器を使ったものも見張りに含まれる」とし、懲役1年の実刑を言い渡した。

同年9月の二審・福岡高裁判決は「見張りは自らの視覚などで相手の動静を把握する行為に限られる」と解釈し、GPSによって遠隔で動静を確認するのは見張りに当たらないと判断。被告が妻に近づいて注視した行為は有罪とし、量刑を懲役8月に変更した。

14年に群馬県館林市で女性(当時26)が元交際相手の男に射殺された事件では、女性の家族の車に取り付けられたGPSが女性の居場所の割り出しに使われた。11年に兵庫県内で女子大学生が元交際相手に刺された事件でも、女性のバイクにGPSが装着されていた。

甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は最高裁判決について「ストーカー規制法の拡大解釈を許さず、規制内容を厳格に当てはめたのは妥当」と評価。「技術の進歩に伴うストーカーの手法の変化に現行法が対応できていない。早急に法改正を議論すべきだ」と話している。

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