消費者庁、徳島に戦略本部を開設
新型コロナでの消費者行動変化など研究
消費者庁は30日、徳島県庁内(徳島市)に新しい時代の消費者行政の企画立案をする「新未来創造戦略本部」を開設した。東京一極集中の是正を目的とした中央省庁の地方移転の第1弾で、2017年から徳島で試験運用していた「消費者行政新未来創造オフィス」の恒久拠点化だ。同本部は東京にある本庁被災時の代替機能なども担う。

伊藤明子消費者庁長官が同本部長を兼任し、同庁職員ら約60人で業務を開始する。同日、職員への訓示をした衛藤晟一消費者行政担当相は「デジタル化の進展で消費者行政は難しくなっている。(新しい施策を)徳島から発信してほしい」と語った。同本部は今年度内をめどに80人程度まで人員を拡充する計画だ。
徳島県は地方創生を進める狙いで消費者庁の全面移転を目指してきた。同庁は17年7月、県庁内に試験的オフィスを開設し、実証実験を進めてきた。徳島県は高齢者の消費者被害防止のための「見守りネットワーク」を初めて全ての市町村に整備したほか、19年には20カ国・地域(G20)消費者政策国際会合を開催するといった実績が評価され、恒久的な拠点開設にこぎつけた。
同本部内には国際消費者政策研究センターを置き、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う消費者行動の変容やトラブルの調査を進める。SNS(交流サイト)を活用した相談窓口の実証や、近年増加する「ゲーム障害」と呼ばれる未成年者を中心としたテレビゲーム依存症の対策マニュアル作成も手掛ける予定。国外の学術機関と連携して消費者法制も研究する。
徳島県の飯泉嘉門知事は同日、「日本の消費者行政を世界に発信していく拠点として、徳島県との連携を深めていく」と期待を示した。

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