トヨタ系5社の4~6月、最大の最終赤字 7月以降復調へ

トヨタ自動車系の中堅部品メーカー5社が30日発表した2020年4~6月期の連結決算は、全社が同期間では過去最大の最終赤字を計上した。新型コロナウイルス禍でトヨタも減産を余儀なくされ、部品各社の受注や納品に響いた。中国などコロナ禍前の市場環境に戻っている地域もあり、各社は7月以降、収益が復調するとみている。

4~6月期は全社が前年同期比で約3~5割の大幅な減収だった。本業のもうけを示す営業損益段階でも過去最大の赤字を計上した。
「改めて1銭、1ミリ、1グラムにこだわるカイゼンで固定費を減らしていく」。同日、記者会見した東海理化の二之夕裕美社長はこう力を込めた。
同社はシートベルトやスイッチ類など幅広い部品を手掛けている。4~6月期の最終損益は95億円の赤字と、7億円の黒字だった直前の1~3月期から急速に悪化した。売り上げベースでトヨタ向けが前年同期に比べ4割減、三菱自動車とマツダ向けもそれぞれ7割減となり、人件費や設備の償却費といった固定費を補えなかった。
各社は国内のほか、海外にも生産拠点を持つ。愛三工業は地域別では日本とアジアの減収が目立ち、3四半期連続で最終赤字となった。
21年3月期通期については愛三工業を除く4社が発表した。同社はトヨタ向け以外の先行きが不透明なため開示を見送ったという。部品業界では7月以降、収益は復調するとの見方が多い。通期では大豊工業と中央発条が大幅な減益ながら黒字を見込む。
大豊工業は「売上高が上半期は当初計画比で約3割減だったが、下半期は約1割減まで回復する見通し」(延川洋二執行役員)という。同時に設備投資額を当初予定の65億円から49億円に下げる。中央発条はトヨタの生産が9月以降、コロナ前の計画でほぼ推移するとみて黒字を予測する。
通期で最終赤字を見込む東海理化とフタバ産業も、営業損益は7~9月期から黒字になる見通し。「社内では黒字化を目指して利益改善計画を進めている」(東海理化の西田裕取締役)とする。
調査会社マークラインズによると、6月の中国の新車販売は約230万台と前年比で12%増えた。米国は約111万台と26%減だったものの、4月(47%減の約71万台)から底入れの兆しが出ている。いずれもトヨタが力を入れている市場だ。
ただ、ここにきて日米を中心に新型コロナの感染が再び急速に広がっている。各社はコロナ情勢を見極めながら、経営のアクセルとブレーキをうまく使いこなすことが求められそうだ。(藤岡昂)