シンガポール・マレーシア、26年末に通勤電車開業へ

2020/7/30 17:14 (2020/7/31 10:02更新)
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【シンガポール=中野貴司】シンガポールとマレーシアは30日、2026年末に両国間を結ぶ通勤電車を開業することで合意した。陸路で往来しやすくし、シンガポールとマレーシア南部の経済の結びつきを強める。

シンガポールとマレーシアを結ぶ道路では渋滞が頻発していた(新型コロナの影響で国境が閉鎖される前の3月に撮影)=ロイター

シンガポールのリー・シェンロン首相とマレーシアのムヒディン首相らが30日、国境付近で会い、開業時期や運営企業などの詳細で合意した。通勤電車はマレーシア南部のジョホール州とシンガポール北部の約4キロメートルを結び、1時間あたり片道1万人を輸送する。21年から建設工事を始め26年末の開業を目指す。総工費は約100億リンギ(約2500億円)の見通し。

新型コロナウイルスの感染拡大前、マレーシアからシンガポールに平日の朝、労働者約30万人がバイクや車で越境通勤していた。シンガポールの方が賃金が高いためで、同国製造業にとってマレーシア人は貴重な労働力となっていた。ただ朝と夕方に渋滞が頻繁に発生し、改善は急務だった。

通勤電車が開業すれば2国間の道路の渋滞が緩和されるほか、シンガポールはより多くの労働者を受け入れられる。シンガポール住民も物価の安いマレーシアに買い物に行きやすくなる。

両国は入国・税関手続きを乗車時のみで完結するようにして電車の利用を促進する。両国間の往来が増えれば、周辺地域の不動産開発やサービス産業への波及効果も大きいとみている。

新型コロナの感染拡大を防ぐため、シンガポール・マレーシア間の越境通勤は現在禁止されている。両国は8月10日から重要度の高いビジネスや公務目的の往来を再開する予定だが、大量の労働者の越境通勤は当面再開が難しい。電車が開業する26年末には新型コロナ問題は収束している可能性があるが、以前の水準まで通勤需要が回復するかどうかは不透明だ。

電車の建設構想はナジブ氏がマレーシア首相だった11年ごろに浮上、18年の開業を目指していた。18年に首相に復帰したマハティール氏の意向で、19年4月に計画が凍結された。3月にマハティール氏の後任の首相に就いたムヒディン氏は電車が通るジョホール州が地盤で、再び計画を再開する方針に転じた。

シンガポールとマレーシアの首都クアラルンプールを結ぶ高速鉄道の計画も18年以降凍結されており、建設再開で合意できるかが次の焦点となる。

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