緊急地震速報が誤報 規模を過大評価

気象庁は30日、房総半島南方沖を震源とするマグニチュード(M)7.3の地震が発生したとして関東甲信地方などに緊急地震速報を発表したが、震度1以上の揺れは観測されず、津波もなかった。震源の位置や地震の規模を誤ったことが原因で、同庁は「誤報」と認めて謝罪した。
緊急地震速報は地震による2つの揺れ(地震波)のうち、比較的弱く速いP波を地震計でとらえ、各地の震度を予測。より強く遅いS波が襲う前に、震度4以上が推定される地域に自動で速報を出す仕組みだ。
同庁によると、実際には午前9時36分ごろ、東京・伊豆諸島の鳥島近海を震源とするM5.8(推定値)の地震があった。観測データをもとに同庁のシステムが自動計算したところ、震源の位置を約450キロ離れた場所に誤って推定し、地震の規模を過大に見積もったという。
震源に近い伊豆諸島には地震計が設置されているが、南北に一直線に連なり、本州などと比べ地震計の数も少ない。同庁は「配置などが影響した可能性がある」とし、今後原因を詳しく調べる。
緊急地震速報を受け、都営大江戸線が約1時間半にわたり運休したほか、東北、上越、北陸の各新幹線も東京―大宮間で一時運転を見合わせた。
気象庁の加藤孝志地震津波監視課長は記者会見で「国民の皆様に多大なご迷惑をおかけした。精度向上に努める」と陳謝した。