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日仏連合の傷深く 3社の営業赤字5400億円、1~6月

仏ルノー、日産自動車三菱自動車の日仏連合の業績悪化が深刻だ。ルノーは30日、2020年1~6月期の最終損益が72億9200万ユーロ(約9000億円)の赤字だったと発表した。自動車メーカーは新型コロナウイルスによる需要急減に直面するが、3社の営業赤字は独フォルクスワーゲン(VW)の約3倍だ。販売も落ち込んでおり、傷は深い。

「固定費を減らすことにとどまらない厳しい規律を通じ、状況を改善する」。今月1日に就任したルノーのルカ・デメオ最高経営責任者(CEO)は巨額赤字にコメントした。新型コロナの影響で、地盤の欧州の1~6月の販売台数は前年同期比42%減と落ち込み、世界全体でも125万7千台と35%減った。

3社合計でも世界販売台数は34%減の345万台だった。トヨタ自動車(22%減の416万台)、VW(27%減の389万台)よりも減少幅が大きい。日仏連合は1~6月では17、18年と2年連続で世界トップに立っていたが、19年に同3位に転落したうえ、足元ではトヨタ、VWに差をつけられた。

1~6月の3社の営業赤字の合計は5400億円に達する。コロナ禍で販売が急減しているのはどのメーカーも同じだが、同期間のVWの営業赤字は1800億円強、独ダイムラーも約1300億円にとどまる。日仏3社は構造改革費用も計上しており、最終赤字額はさらに膨らんだ。

競争力の低下は、連合を率いたカルロス・ゴーン被告の逮捕後、日産とルノーで主導権争いをし、時間を空費した結果だ。逮捕から1年半以上たち、各社の首脳の顔ぶれも大きく変わった。

日産は西川広人氏が19年9月に社長兼CEOを辞任し、同12月に内田誠氏が就いた。ルノーは同1月にジャンドミニク・スナール氏が会長に、ティエリー・ボロレ氏がCEOに就任。だが、ボロレ氏は経営手腕を疑問視する声が出て同10月には解任され、後任としてデメオ氏が就いた。

日産とルノーは5月、三菱自は7月に構造改革を柱とする中期経営計画を公表した。ようやくゴーン時代の拡大路線の修正を打ち出したが、遅すぎた感は否めない。

日産はスペイン工場の閉鎖など世界生産能力を2割削減、ルノーも同2割削減するなど拡大路線で膨らんだ過剰設備やコスト圧縮に着手したばかり。未曽有のコロナ禍において、トヨタやVWなどと競いながら反転攻勢に出る力は今の日仏連合にはない。

ルノーは当面の資金繰りのため、筆頭株主の仏政府が同社の50億ユーロの借り入れに保証を付けた。仏自動車産業全体には約80億ユーロを充てて電気自動車(EV)の増産を促すが、ルノーの経営の自由度は減ることになる。

「我々には他に選択肢はない」。ルノーのスナール会長はかねて、3社がアライアンスを組む意義をこう強調してきた。逆に言えば、次世代車の共同開発や部品の共同調達などコスト削減でシナジーを発揮できなければ単独では生き残れる強みがない企業の集合体にすぎないともいえる。

コロナ禍が過ぎ去っても、自動運転など異業種を巻き込んだ異次元の競争が待ち構える。構造改革を確実にやり遂げ、世界トップ規模のグループに返り咲けるか。「弱者連合」に残された時間は少ない。

(小泉裕之、押切智義、ロンドン=佐竹実)

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