世界経済、V字回復困難に 米GDP4~6月32.9%減

2020/7/30 18:00 (2020/7/31 6:44更新)
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米国は戦後最悪の景気悪化となる(23日、ニューヨーク)=ロイター

米国は戦後最悪の景気悪化となる(23日、ニューヨーク)=ロイター

【ワシントン=河浪武史、ベルリン=石川潤】新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に大きな傷痕を残している。米商務省が30日発表した4~6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、前期比年率換算で32.9%減少した。感染再拡大で7~9月期の回復力も疑問符がつく。コロナ感染と経済停止という複合危機は出口が見えず、雇用支援策などを続けられるかが当面の焦点となる。

4~6月期の米GDPは統計がある1947年以降で最大のマイナス幅となった。ドイツが30日発表した4~6月期のGDPは前期比10.1%減、前期比年率換算では米国を上回る30%台半ばのマイナスとなった。

傷痕は各国とも甚大だ。JPモルガン・チェースは、4~6月期のユーロ圏の成長率を年率換算でマイナス40%と見込む。感染拡大が止まらないインドも同40%減、ブラジルは同51%減と、過去に例のない景気悪化を余儀なくされたとみる。

米国など各国は4、5月に相次ぎ経済活動を再開し、回復期待が高まった。各国とも7~9月期には前期比年率換算で2桁のプラス成長の見通しだ。

ところがコロナ感染が再拡大し、経済活動は急速に停滞感が強まっている。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は「クレジットカードのデータからみると、個人消費は6月下旬から減速している」と明言した。

7~9月にプラス成長に転換するとはいえ、コロナ前の水準には届かない。仏BNPパリバの見通しに基づくと、米国の同期のGDPは危機前(19年10~12月)より6%小さい。

ユーロ圏は同10%も縮小したままだ。ドイツでは基幹産業の自動車産業が厳しい。4月の国内乗用車生産は前年同月比97%減った。6月も前年同月より2割低い水準にとどまり、独ダイムラーは「コロナで減った販売を年後半で取り戻すことはできない」とする。

主要国でコロナ前の水準を上回るのは中国(5%増)ぐらい。インドは6%小さいままで、ブラジルも8%縮小しており、経済再生の道のりは極めて長い。日本の7~9月もコロナ前と比べて同5%小さい。

日本は内閣府が30日、20年度の成長率をマイナス4.5%、21年度をプラス3.4%とした。ただGDPの水準がコロナ前に戻るのは、早くても22年度以降との見方が一般的だ。

米国の失業者は今でも1700万人、失業率は11%と戦後最悪の水準が続く。景気回復がもたつけば、労働市場が「二番底」に落ち込む懸念があり、個人消費に悪影響を与えかねない。

焦点は7月末までが期限の週600ドルの失業給付の特例加算の行方だ。失業給付の規模を巡って米議会では与野党対立が激しさを増し、今月中の成立が不透明になっている。

国際通貨基金(IMF)はコロナ危機による経済損失が、20~21年の2年間で1300兆円に達すると試算する。

ただリスクはそれだけではない。米国と中国の対立は一段と深まり、世界の供給網の修復は一段と遅れる。リーマン後に積み上がった過剰債務も解消が先送りされ、次なる金融危機の火種すら残っている。

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