キヤノン、21年ぶり安値 減配を嫌気
銘柄診断
29日の東京株式市場でキヤノン株が大幅安となった。一時、前日比14%(284円)安の1793円まで下落し99年以来となる21年ぶりの安値をつけた。前日に発表した4~6月期の連結最終損益は88億円の赤字。四半期として初の赤字に転落し、6月末の配当も40円減と33年ぶりの減配が嫌気され、売りが膨らんだ。

終値は13%安の1797.5円。売買高は前日の5.6倍に膨らみ東証1部の値下がり率4位となった。
キヤノンは安定配当で知られてきた。足元では「業績や成長期待より高い配当利回りが株価を下支えしてきた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の小宮知希氏)だけに投資家への影響も大きかった。
主力の複合機は4~6月の売上高が4割減で「予想以上に落ち込みが大きく、海外投資家もポジションの見直しに動いた」(国内証券)。29日は複写機銘柄のリコー(終値9%安)やコニカミノルタ(同11%安)も売られている。
市場の復調は鈍く、厳しい事業環境は当面続く。コロナ後を見据えた事業運営に資金を充てるためにも「配当を死守するとしてきた同社にとって減配は英断」(SMBC日興証券の桂竜輔氏)との声も出ている。