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コロナ対応融資2100億円超 中国5県の27信金・信組

中国地方にある主要27信用金庫・信用組合が6月末までに実行した新型コロナウイルス対応の融資額は計2100億円に上った。制度融資を活用した無利子融資は全体の8割を占めた。積極的な資金手当てで地場企業の資金繰り難は解消されつつある。一方、需要の回復が進まない業種では厳しい環境が続く。信金・信組が事業支援にどこまで踏み込めるかが今後の焦点だ。

広島市信用組合は連続で増益を確保した

中国地方に本拠を置く20信金・7信組にアンケート調査を実施し、結果を集計した。

コロナ対応の資金繰り支援のうち、無利子融資の実行件数は6月末までに計1万1000件超、1660億円程度となった。5月から同融資を民間金融機関が手掛けられるようになり、2カ月の間で大規模な資金手当てが各地域で進んだ。一方、自前のプロパー融資は6月末で約2700件、440億円程度にとどまった。

信金・信組の取引先は小規模な事業者が多い。喫緊の資金繰り支援では無利子融資の上限である4000万円の範囲で収まる例も目立つ。事業者からしてみれば同じ借入金でも無利子の方を望むこともあり「顧客の選択を優先せざるを得ない」(山口県内の信金)との声もあった。

貸し手である金融機関側にとっては、貸し倒れリスクを信用保証協会が肩代わりする同融資はノーリスクだ。無利子融資とプロパー融資の実行額に大きな差があるのは、借り手と貸し手の双方にこうした事情がある。

ただ、無利子融資にばかり傾注することに対して専門家は警鐘を鳴らしている。金融庁参与の森俊彦氏は「無利子融資をキャンペーンのように使う例が全国でも多い」と話す。同融資は利子分を自治体が追って補給する仕組みのため、金融機関はリスクなく利ざやを確保できる仕組みとなっている。

足元では必要としていない事業者向けにも営業攻勢を強めているケースが地域を問わずあるという。利子補給分の源泉は税金だ。森氏は「中小を支える仕組みが正しく機能しているのか、各県民が危機感を持たないといけない」と指摘する。

また、無利子であれ事業者は元本を返さないといけない。各信金・信組では「クラウドを活用した販路拡大」(広島県呉市の呉信金)や、「ネット販売用のホームページ作成の補助」(岡山県総社市の吉備信金)といった地道な取り組みもある。資金繰り支援と併せて、顧客の損益改善につながる本業支援が欠かせない。

(田口翔一朗)

前期最終損益、7割が悪化


 今年2月に発足した備前日生信用金庫(岡山県備前市)を除く26信金・信組のうち、全体の7割にあたる18信金・信組で2020年3月期の最終損益が前の期よりも悪化した。貸出金は6割で増えたものの、長引く低金利で貸出金利回りが低下したことが響いた。顧客の業況悪化に伴う与信関連費用が急増する例も目立った。
 26信金・信組の平均貸出金利回りは1.88%と、前の期(1.92%)と比べ0.04ポイント悪化した。2%を下回るのは3年連続。利息収入などで構成される資金利益は半数で減少した。
 萩山口信金(山口市)と日本海信金(島根県浜田市)は最終赤字に転落。与信費用の増加に加え、日本海信金では店舗の統廃合に伴う減損損失を計上したことが響いた。
 最終増益を確保したのは8信金・信組。なかでも好調が続くのは広島市信用組合(広島市)だ。同信組では6期連続の最終増益、本業のもうけを示すコア業務純益は18期連続で増益となった。山本明弘理事長は「中小・零細のおかげで資本も厚くなった。コロナ危機の今こそ地域に還元するつもりだ」と話す。

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