花王の1~6月期、売上高8%減 化粧品は赤字に

2020/7/29 19:55
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新型コロナウイルスの影響が日用品メーカーの業績にも及んでいる。花王が29日発表した2020年1~6月期の連結売上高は前年同期比8%減の6671億円だった。訪日客の激減や外出自粛で化粧品の販売が減少した。消毒液などの衛生関連に加えて「巣ごもり需要」が見込める洗剤など幅広い商品カテゴリーを抱えるが、コロナの影響は補いきれなかった。

沢田社長はコロナ禍の長期化に警戒感を示した

「非常に難しいかじ取りを迫られた半年だった」。29日に開いたオンライン記者会見で、沢田道隆社長は苦悩をにじませた。セグメント別で落ち込みが最も大きかったのは化粧品だ。1~6月期の売上高は前年比22%減の1099億円。メーキャップの構成比が高く、外出自粛で化粧の機会が減った影響を受けた。

店舗休業の受け皿になるネット通販の体制整備が遅れていたことも響いた。国内に約6100人いる美容部員などの人件費がかさみ、化粧品は48億円の赤字となった。

美容室の休業でサロン向け販売が減ったスキンケア・ヘアケア事業の売上高は10%減の1511億円。オフィス印刷機や自動車向けが低調だったケミカル事業は7%減の1354億円だった。

一方で、需要が急拡大したハンドソープや消毒液など衛生関連商品は好調だった。ハンドソープの国内市場は2倍、手指用消毒液は15倍に拡大する見通し。新型コロナによる衛生意識の高まりは今後も追い風になる。

花王は2月、競合他社に先駆けて20年通期の業績予想を発表した。他社が公表を控えるなか、売上高1兆5100億~1兆5300億円と増収を掲げた。しかし29日に売上高見通しを前期比5%減の1兆4300億円、営業利益は10%減の1900億円に下方修正した。利益率が最も高い化粧品の影響が大きい。

さらにコロナによる店舗休業などが長期化した場合は「修正予想をさらに下回る可能性もある」(沢田社長)という。

コロナ禍で生活様式は変化している。化粧品の落ち込みと衛生関連の伸びが示すように、日用品国内最大手の花王は消費者ニーズの変化にどう対応できるかが重要だ。

その典型例がマスクで、着用時に日焼け止めを塗ると、効果が低いと顔の上半分と下半分で肌の焼け具合が変わってしまう。塗りやすさなど消費者に訴える点はあるが、むしろ日焼けを抑える本質的な機能の重要度が高まる可能性がある。

将来に向けて明るい兆しもある。その一つが髪、顔、体を1本で洗える「メンズビオレONE オールインワン全身洗浄料」の売れ行きだ。販売データを収集する日経POS(販売時点情報管理)データによれば5月は前年の2倍、6月は3倍近くまで伸びている。

この結果について沢田社長は「衛生意識が高まり、帰宅してからすぐに全身を洗いたい人が増えている」とみる。コロナと「共生」する消費者のニーズを的確にとらえた商品開発の重要性が一段と大きくなっている。

(川井洋平)

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