毎月定額が正解? おこづかいで磨く子どもの金銭感覚

今年は短い夏休みになる学校が多いようです。それでもお盆におじいちゃん、おばあちゃんに会ってこづかいをもらったり、それを使ったりと、子どもがお金と接する機会が増えるのではないかと思います。
こづかいは子どもにお金のことを教えるよいきっかけになります。自分で使い方を考え、欲しいものを手に入れる。そういうことが子どもにはよい経験となるのです。
では、こづかいは、何歳ごろから、どのように渡すとよいのでしょう。まず、年齢です。低学年のうちから少額を渡してもよいと思いますが、お金の価値が少しわかってくる小学校の中学年、3年生、4年生あたりの方が、考えながらお金を使うことができ、「こづかい」の意味を感じられるのではないかと思います。
実際、小学生のうちからもらっているという子はかなり多いようです。少し古いデータになりますが、「知るぽると(金融広報中央委員会)」で公表された2015年度「子どものくらしとお金に関する調査」では、小学生の7割強、中学生・高校生は8割強がこづかいをもらっています。もらっている相手は、小学生の6~8割、中学生・高校生は9割超が親からです。
こづかいは大きく分けて2つあります。親から毎月または一定ルールのもとで渡すものと、お年玉やお盆の帰省時にもらうこづかいのような、親だけではなく祖父母や親戚などから臨時的にもらうものです。
親から渡すこづかいは、毎月定額、または手伝いの状況に応じて渡すという2タイプが主流です。「どちらがいいの?」とよ聞くかれるのですが、私としては「毎月定額」がよいと思っています。その方が、自分が自由に使える金額の範囲を意識できますし、使い方について考えるようになると、子どもと接していて感じるからです。
買い物の仕方やお金の扱い方では、何度か失敗するでしょう。その失敗を繰り返しながら、親と共にどうして失敗したのか、よくなかったのかを考えることで、次第に自分が本当に欲しいと思えるものを購入できるようになっていきます。これが金銭教育、お金面での成長だと言えます。
金銭教育というと、子どもにどう教えたらいいのかと気構えてしまいそうですが、難しいことではありません。子どもが買い物をする時に、「おこづかいが減って他のものが買えなくなるかもしれないけれど、本当にいいのか」と聞くだけです。
初めは子どもも判断がつかずに、使い方を間違って後悔することがあるかもしれません。ですが繰り返し問いかけ、考えることで、いま優先して手に入れたいものかを慎重に考えるようになります。欲しいものが2つあればどちらを先に買うとか、優先順位を考えられるようになっていくでしょう。また、月のこづかいで足りないものは、数カ月こづかいの一部をためて買おうという工夫も始まるかもしれません。
毎月定額のこづかいの場合、「足りなくなっても追加のこづかいを渡さない」というルールが大切です。自分が自由にできる枠を知ることが必要だからです。
手伝いをしたらこづかいを渡すという方法をとっているご家庭も、多くあります。海外では、金銭教育の一つとして、子どものうちから働いて稼ぐ大変さを知ってもらうことを目的に、手伝いをした時だけ報酬(こづかい)を渡すことも多いようです。
確かに、お金を手にすることは大変なことだと理解することは、大切なことです。それにより、おこづかいを大切に使おうと考えるお子さんもいるでしょう。ですが、少しイヤな見方をしてしまうと、「こづかいがもらえないから手伝いをしない」ともなりかねません。これでは少し目的からそれてしまいます。
どちらがよいかは考え方もありますので、結論が出ない部分でもあります。ですが、自分の範囲を知り、その中でやりくりをすることを覚えるには、毎月定額がよいでしょう。

祖父母や親戚からもらう臨時のこづかいは、どう教えるとよいでしょうか。使うのであればいつものように本当に欲しいのか、必要なのかを考えさせ、計画的に使わせましょう。使う予定がなければ、この先こづかいが不足した時に使える予備費として蓄えさせてもよいでしょう。「今月は友達2人が誕生日、2人分のプレゼントを買うには月のこづかいでは足りない」ということもあると思います。そういう時のやりくり費です。家計で言えば、ボーナスが支給されたときに考えることと、同じですね。
子どもとこづかいは、簡単そうで意外と悩ましいものです。子どもにこづかいを持たせる目的は、自分が持つことができるお金のなかで、自分のためにきちんとお金を使えるようになってほしいということです。子どものうちに身につけた感覚は、大人になってからも影響します。お金を大切に扱える子、そうではない子。将来は大きく違うのではないでしょうか。

ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。