LINE、コロナで対話アプリ利用増 4~6月増収
先行投資で赤字は続く

2020/7/29 17:42
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LINEの対話アプリは行政インフラとしても注目される

LINEの対話アプリは行政インフラとしても注目される

LINEが29日発表した2020年4~6月期の連結決算(国際会計基準)は最終損益が118億円の赤字(前年同期は163億円の赤字)だった。スマホ決済の先行投資で赤字だったが、新型コロナウイルスで対話アプリの利用が増え売上高は伸び、行政インフラとしても注目される。Zホールディングス(HD)との経営統合を控え、アプリ機能の拡充を急ぐ。

売上高にあたる売上収益は5%増の583億円、営業損益は95億円の赤字(同139億円の赤字)だった。LINEはスマホ決済やAI事業への投資を先行させており赤字が続く。

コロナ下の外出自粛で対話アプリ「LINE」の6月の国内利用者は8400万人と前年同月に比べ300万人増えた。全社売上高の過半を占める広告事業は、アプリの画面で表示されるターゲティング広告が中心だ。4~6月期の広告表示件数は806億回と前年同期の2.1倍に拡大。広告事業を含むコア事業の4~6月期は増益で売上高営業利益率は20%と2ポイント強上がった。

矢野哲執行役員は「コロナでLINEニュースなどの視聴が増えており、今後も(ターゲティング)広告の成長は続く」と話していた。

対話アプリの需要が増え、コロナ下で進むのが、多様なサービスの入り口となる「スーパーアプリ」化に向けた種まきだ。自治体や企業とラインの利用者をつなぐ機能を拡充している。

東京都などが新型コロナ対策専門の自治体アカウントを開設

東京都などが新型コロナ対策専門の自治体アカウントを開設

健康状態を尋ねたり、予防策や地域ごとに必要な情報を伝えたりできるコロナ対策専用のアカウントを26都道府県が開設し、全国で430万人超が登録した。神奈川県の担当者は「フォローする80万人に情報を伝え、個別に情報収集もできる。市民も使い慣れていて協力を得やすい」と話す。

もう一つの新機軸は「LINE」上で使う「ミニアプリ」で、7月から本格サービスを始めた。利用企業はネット通販などのサービスを提供しつつ、会員データを販促などに活用できる。

スマホでダウンロードして使う通常のアプリに比べ、ミニアプリの機能は簡易的だが開発費が安く済む。アパレル大手のパルは会員証代わりにミニアプリを導入し、ラインの登録者を4カ月で4倍に増やした。LINEは100社弱の外部のアプリ開発企業と協力し、企業に導入を促す。

ただ課題もある。行政向けサービスとミニアプリは原則無償で提供し、収益への貢献度は低い。LINEの舛田淳取締役は「公的機関の利用などで広告価値が上がる。利用者が増えれば、いつかマネタイズできる」と話す。現預金は6月末で1789億円あり潤沢だが、収益化へのロードマップが見えにくい状況だ。

16年の上場以来、LINEの最終損益が通期で黒字になったのは16年12月期、17年12月期の2度だけで無配が続く。会社の規模やサービス利用者は増えたが、ZHDとの統合検討が報じられるまで、株価は上場時の4900円を1割程度下回っていた。数百億円規模の利益を稼ぐZHDとは差がある。

海外は中国の騰訊控股(テンセント)など巨大IT企業がアジア各国でスーパーアプリを展開する。LINEが対話アプリを提供する台湾やタイ以外では地盤が弱く、後発組には厳しい情勢だ。統合後にシナジーを生み出せなければ、ZHD全体の収益や成長戦略にも影響を及ぼす可能性がある。

(伴正春、秦野貫)

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